NFT 使ったサービスについて、NFT を用いたランダム型販売サービスがあります。
この点、日本国内の法令が未整備なため、どこまでやってよいのか不明確な部分がありました。そこでNFT関連5団体(BCCC・JCBI・JCBA・JBA・C-SEP )は、「NFTのランダム型販売サービスに関するガイドライン」を策定しました。
そこで今回は、ガイドラインの内容を見ながら、法律的な解説をしていきます。
NFTのランダム型販売サービスとは以下の4つのことを言います。
硬貨を入れ回転式レバーを回すとカプセル入りの玩具が出てくるガチャガチャのように、販売会社が用意する複数のNFTの内からランダムに1つのNFTが排出され、ユーザーによる購入対価の支出後に、取得したNFTの内容が判明するような販売方式。
複数のNFTをランダムに組み合わせて中身がわからないパッケージを作成し、ユーザーによる購入対価の支出後に、提供されたNFTの内容が判明するような販売形式。
複数の同じ絵柄のNFTが提示され、その中から購入するNFTをユーザーが任意に選択し、購入 対価の支出後に、NFTの絵柄が変わってユーザーが取得したNFTの絵柄が判明するような販売形式。
パーツ分けした画像データをランダムに組み合わせるプログラムを用いてNFTを生成し、ユーザーによる購入対価の支出後に、生成されたNFTの内容が判明するような販売方式。
NFTのランダム型販売サービスについては、賭博罪に該当するのかについて、事業ごとに見ていきたいと思います。
「賭博」とは、2人以上の者が次のことを行うこととされています。
ただし、「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」は賭博罪は成立しないとされています。
③の「得喪を争う」とは、勝者が財物を得て、敗者がそれを失うという関係にあるということです。一方、当事者の一方が財物を失うことがない場合は「得喪を争う」ものとはいえません。例えば商店街などの福引などは該当しません。
NFT をランダムにパッケージ販売する場合、安いNFTが取得するか、稀少性があり高額で転売可能なNFT を取得できるかについては、①の偶然性に左右されます。
もっとも「③の財物の「得喪を争う」関係にあるかどうかは、購入したパッケージが販売価格に見合ってないなどの条件が必要になります。そうなると、原則としてNFT のパッケージ販売は、財物の「得喪を争う」関係は認められないことになり、賭博罪は成立しないことになります。
次に、4つの類型のうちパッケージ販売を除くランダム型販売(ガチャ販売・リビール販売・ランダムジェネレーション販売)についてです。
一次流通市場では、NFTの販売価格は、販売会社の判断により決定されます。
パッケージ販売を除くランダム型販売においては、販売会社は販売価格を決め、それをユーザーが見て、納得して購入する関係になります。これは一般的には財物の「得喪を争う」関係は、基本的には生じません。
販売会社がNFTのランダム型販売で、二次流通市場(マーケットプレイス)を併設する場合には、賭博罪との関係はどうなのでしょうか?
一次流通市場の取引は販売会社とユーザーとの間の取引、二次流通市場の取引はユーザー間の取引です。
一次流通市場と二次流通市場の取引は、取引としては異なるものであり、これらを一体として判断するのは適切ではありません。
そうなると、一次流通市場と二次流通市場を個別に賭博罪の要件を検討する必要があります。
ランダム型販売の NFT を別途販売する際に、全て同一価格に設定するなどをした場合には、ランダム型販売価格を自由に設定したとしても財物の「得喪を争う」関係は発生せずに、賭博罪が成立しません。
一方でランダム型販売の NFT を別途販売する際に、レアリティにより差異を設ける場合には、ランダム型販売価格が別途販売価格のうち最も低い単価を超えないように注意する必要があります。
ただし、一次流通市場でランダム型販売されたNFT が、その後ユーザー間で二次流通市場においてランダム型販売される場合には、販売会社とユーザーとの間に財物の「得喪を争う」関係が生じる可能性があります。
販売会社としては二次流通市場のビジネスモデルを検討する際には、慎重な検討が必要です。