投資家から資金を集めて事業資金を貸し出すソーシャルレンディング事業で急成長した(株)みんなのクレジットが、2回続けて、行政から業務停止処分を受けました。
1回目は、今年3月に関東財務局から金融商品取引法に基づく1カ月間の業務停止命令と業務改善命令
2回目は、8月2日に、東京都から貸金業法に基づく業務停止処分(1カ月)と業務改善命令です。
この短期間で、2回の業務停止命令というのは、あまり聞かない例ですが、2回の業務停止命令は、その根拠となる法律が異なります。
そもそも「ソーシャル・レンディング」とは、お金を貸したい人(レンダー)と、お金を借りたい人・企業(ボロワー)とを結び付けるマッチングサービスのことです。
レンダーにとっては、新たな資産運用の手段になり、ボロワーにとっては、銀行からの融資を受けられないような場合でも、消費者金融よりも、低い金利で借りられるとして、資金調達の一手段になることで注目されています。
アメリカやイギリスではソーシャル・レンディングはどんどん普及していて、Lending Clubは、2014年12月にNY証券取引所への上場を果たし、時価総額は約4,800億円を超え、貸し付けられた金額は、約1.5兆円を超えるとされています。
日本でソーシャルレンディング事業を行うためには、貸金業法と金融商品取引法を遵守する必要があります。
貸金業法では、以下に該当する場合には、貸金業者の登録が必要とされています。
この(2)「業として」というのは、一定期間、反復・継続して行う場合にあたると考えられています。貸金業者として登録されるためには、以下を含む一定の要件を満たすことが必要となります。
レンダーとして、お金を貸したいという人は、一回だけでなく、複数回にわたって貸付を行うつもりがあるはずです。そうなると、ソーシャルレンディングサービスを利用するレンダー各個人が、貸金業者の登録が必要になっていきます。
しかし、これは、あまりにも、現実的ではありません。そこで、日本でソーシャルレンディング事業を行うためには、次のような形を取ることが必要です。
つまり、ソーシャルレンディング事業者は、貸金業者の登録と第二種金融商品取引業の登録が必要となります。
ちなみに、第二種金融商品取引業の登録には、以下の要件のほか、様々な要件を満たす必要があります。
上記のように、ソーシャルレンディング事業者は、貸金業者の登録と第二種金融商品取引業の登録が必要となります。
このような金融規制は、登録を受けるのも大変ですが、その後の運用もしっかりと行う必要があります。財務局・金融庁からの検査、指導も厳しいものがあります。
みんなのクレジットのように、杜撰な管理体制をしていると、業務停止命令が出されてしまうのです。