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コスプレをめぐる法律問題~著作権を中心にIT弁護士が解説~【2020年5月加筆】

著作権に関する法律

コスプレは法律的にどうなの

コスプレとは…と改めて、説明するまでもないかもしれませんが、ここでいうコスプレとは、アニメやゲームなどのキャラクターの衣装を身にまとい、そのキャラクターになりきって楽しむことをいいます。

イベントやコミックマーケット(コミケ)などでは、当たりまえの光景ですが、アニメや漫画のキャラクターをコスプレすることに法律的な問題はないのでしょうか。

コスプレと著作権の関係

アニメや漫画のキャラクターをマネして、コスプレをすることは、著作権法に違反するのでしょうか。

アニメや漫画のキャラクターを生み出した著者は、当該キャラクターの著作権者となります。そして著作権者には、著作物を「変形」して利用できるという翻案権があります(著作権法27条)。

よって、著作権者以外の人が、当該キャラクターを「変形」させ、利用することは、著作権の中の翻案権を侵害するおそれがあるのです。

したがって、典型的なコスプレは、著作権法に違反するおそれがあります。

著作権違反した場合には、どうなる?

では、著作権法違反するコスプレの場合に、どのような問題があるでしょうか?

一番重いものとしては、著作権法違反として刑事罰が科されるという点が挙げられます。

しかし、自らキャラクターをマネした衣装を作成し、自らの着用するという場合には、実際に、刑事罰が課されれるということは、少ないでしょう。

著作権法違反は、親告罪なので、著作権者が告訴しない限り、捜査されることはありません。

自ら衣装を着て、楽しむコスプレ文化は、すでに定着しているので、それに対して、刑事告訴をすることは通常ないでしょう。

しかし、キャラクターをマネた衣装を大量に作り、第三者に販売するように商用利用の場合には、刑事罰を受ける可能性があります。

コスプレすること自体が問題になる場合

コスプレとして人気のある(!?)警察官のコスプレですが、警察官のコスプレをすること自体が、「軽犯罪法」より罰せられる場合がありえるんです。

軽犯罪法の1条15号では「資格がないのにかかわらず法令により定められた制服等を用いた者を拘留又は科料に処する」と定められています。

「法令により定められた制服」には、警察官、消防隊、自衛隊などが挙げられています。これらのコスプレをすると、法律上は、刑事罰が課される可能性があります。

ただし、実際問題として、警察官のコスプレをしたら、直ちに逮捕される可能性は、極めて低いといえます。

もともと、この法律は「詐欺や恐喝の手段として用いられる可能性がある」から、軽犯罪法により規制されているので、イベントなどで、一回、警察官のコスプレをしたくらいでは、逮捕されることはないでしょう。

露出の高いコスプレは問題になる?

また、露出の高いコスプレも、問題になる可能性があります。

軽犯罪法の1条20号には「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方で、しり、もも、その他身体の一部をみだりに露出した者」は拘留や科料になります。