IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
グローウィル国際法律事務所
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マーケティングオートメーションサービス(CRM、MAツール)の法律的注意点

IT企業のための法律

マーケティングオートメーションサービスとは

マーケティングオートメーションサービスとは、その名のとおり、企業のマーケティング活動を自動化するツールやサービスのことをいいます。

アナログ・手作業で遂行していた業務を自動化し、さらに収集したデータを基に更なるマーケティング施策を検討することができるようになります。

概ね以下のような機能を有しています。

  • 顧客情報(見込み顧客情報を含む)の収集
  • 管理・顧客へのDM送付などマーケティング施策の実行・分析
  • 第三者のサービスと連携ができる

このようなサービスにおいては、顧客の情報を収集し管理する機能は個人情報保護法、マーケティング施策の一環として、登録した顧客に広告メールを配信する場合は、電気通信事業法、及び特定電子メールの送信の適正化等に関する法律などに留意が必要になります。

個人情報保護法

マーケティングオートメーションサービスのユーザーは通常、法人であることが想定され、法人の顧客(見込み顧客を含みます)に関する個人情報を取得することが基本になると思います。

取得した個人情報は、分析のためにデータベース化されると個人データとなり、第三者に提供する場合や、第三者から提供を受ける場合に、それが当該顧客との関係で個人情報の委託に該当する場合は、第三者提供に該当しません。

なお、サービスとして、第三者ツールとの連携をする場合、当該サービスにおいてはcookie情報やID情報のみの収集であったとしても、第三者ツールから取得する情報との組合せで個人の識別が容易になる場合、個人情報に該当する場合があるため注意が必要です。

電気通信事業法

独自のメッセージ機能を実装する場合は、「他人の通信を媒介する」場合に該当し、かつ、電気通信回線設備を持たない場合は、届出が必要になります。

特定電子メールの送信の適正化等に関する法律

マーケティングオートメーションサービスの機能として、顧客へのDM送付ができる機能を実装する場合、サービスを利用するユーザーに対して、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のルールに違反しないよう要請することが必要になります。

「特定電子メール」とは、「営利を目的とする団体及び営業を営む場合における個人」である送信者が「自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として送信する電子メール」と定義されています。特定電子メールに該当した場合は、送信先の個人から同意を取得しなければなりません。

その他法務観点での注意点

フリーミアムプランなど一定の無料期間を経て自動的に有料プランへ切り替わるようなサービス設計をする場合、有料プランにおけるセキュリティの強度などは当然無料プランよりは高い水準を要求されるため注意が必要です。

また、蓄積したデータの取扱いについても、契約書や利用規約において、削除できる旨の規定を明確にすることが求められます。