IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
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婚活支援サービスを提供する際は「出会い系サイト規制法」の「インターネット異性紹介事業」に注意【解説】

IT企業のための法律

婚活支援サービスの法律

婚活支援サービスでは、結婚相手としての男女の出会いを支援する事業です。

インターネット上の婚活支援サービスで、法律上の問題になるのは、出会い系サイト規制法による「インターネット異性紹介事業」の規制です。

出会い系サイト規制法の規制

出会い系サイト規制法は、「インターネット異性紹介事業」を行おうとする者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、一定の事項を事業を行う事務所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届け出なければならないと規定しています。

この法律が規定されれば、児童の利用の防止に関する責務、児童の利用禁止の明示、児童でないことの確認、児童の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止措置について規制を設けています。

インターネット異性紹介事業の適用がある場合

「インターネット異性紹介事業」とは、次のように定義されています。

  1. 異性交際を希望する者の求めに応じ
  2. その異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達し
  3. 異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする
  4. 上記の役務を提供する事業である

(1)異性交際希望者の求めに応じ

異性交際」とは、男女の性に着目した交際、すなわち相手が男であること又は女であることへの関心が重要な要素となっている感情(性的な感情)に基づく交際をいい、性交等を目的とする交際に限られません。

したがって、「インターネット異性紹介事業」とは、性的好奇心を満たすことを目的とするサイトに限られませんが、「異性交際」を目的とせず、純粋に趣味の話題について意見交換をするようないわゆる「趣味サイト」はこれに該当しません

(2)異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達するサービス

異性交際に関する情報」とは、異性交際希望者が不特定又は多数の異性の注目を集めるために記載する、自分に関する情報,交際を希望する相手の条件に関する情報、交際の方法(電話番号等の連絡方法に関する情報、実際に出会うための日時・場所に関する情報もこれに当たります)に関する情報等をいいます。

また、「インターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達するサービス」とは、インターネット上の電子掲示板に異性交際希望者の異性交際に関する情報を掲載し、不特定又は多数の者がインターネットを利用して閲覧できるようにするサービスをいいます。

(3)異性交際希望者と相互に連絡することができるようにするサービス

相互に連絡することができるようにする」とは、Webサイト開設者が提供する、他人が書き込んだ「異性交際に関する情報」を閲覧した異性交際希望者(閲覧者)が当該する情報を書き込んだ異性交際希望者(書込者)に返信することをきっかけとして、閲覧者と書込者が相互に連絡することができるようになる機能があること。

そして、この機能を利用することにより、異性交際に関する情報を載せた異性交際希望者とこれを見た者との間で相互に1対1の連絡ができるようにすることをいいます。

イメージとしては、Twitter やInstagramのDM、Facebookなどのメッセンジャーの機能です。

したがって、「異性交際希望者」同士が電子メールや2ショットのチャット(1対1のチャット)等の電気通信を利用して相互に連絡をとることのできるようにする機能を備えていないサイトは「インターネット異性紹介事業」に該当しません。

また、チャット等のうち掲示板など、全員が見られる場合には、1対1の連絡ではないことから、「相互に連絡」には該当しません

(4)事業

最後に「事業」とは、有償・無償を問わず、これらのサービスを反復継続して提供していることをいいます。

したがって、ウェブサイトを運営する者が、利用者から料金を徴収していないまたは広告主から広告収入等を得ていない場合であっても事業に該当する可能性があります。

以上のように、婚活を支援する情報を提供するウェブサイトであっても、これらの要件を全て満たす場合、当該ウェブサイトの運営者は「インターネット異性紹介事業者」による規制に注意が必要です。