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暗号資産(仮想通貨)の貸付けは、法律的にOKなのかを弁護士が解説【2023年3月加筆】

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

暗号資産(仮想通貨)の貸付業務って、法律的にOKなの

ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)を貸し付けて、一定期間後に利息をつけて返済してもらう。暗号資産(仮想通貨)取引所では、このような貸付業務を行っているところがあります。

このようなビジネスとしてする場合に、どのような法律の規定があるのでしょうか?

貸金業法との関係

お金を貸すことをビジネスとして行う場合には、貸金業法が問題になります。

貸金業法において『貸金業』とは「金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介で業として行うものをいう」とされています。

ここで、注目すべきなのは、法律上は「金銭」となっているところです。

暗号資産は、金銭ではないことから、暗号資産の貸付を行ったとしても、貸金業には該当しません。暗号資産を貸し付けて、利息を付けて、暗号資産で返還する場合には、貸金業登録は必要ありません。

しかし、貸金業に該当するかは実質的に判断されます。金銭の貸付けと同等と評価されるような場合には、貸金業に該当します。

例えば。暗号資産を貸し付けるものの、金銭で返還約束をさせるような場合には、貸金業の登録が必要となる可能性があります。

暗号資産(仮想通貨)の借入れと預託を受ける場合

たとえば、暗号資産交換業者が暗号資産の借入れを行う場合と、取引所として暗号資産の預託を受ける場合の区別が必要です。

暗号資産の借入れを行う場合には、暗号資産交換業者は当該暗号資産について自己のものとして消費することができ、分別管理を行う義務はありません。

一方、暗号資産の預託を受けている場合には、暗号資産交換業者は当該暗号資産を顧客のものとして分別管理を行う義務が発生します。

この点、暗号資産の借入れという構成を取っていても、利用者がいつでも解約することができるとすると、利用者は解約さえすればいつでも返還を求めることができます。

この場合は、取引所は、解約された場合に備えて預託されている暗号資産と同量の暗号資産をいつでも用意する必要があります。

実質的には、暗号資産の預託を受けていると評価され、分別管理義務の対象となる可能性が高いと考えられます。

暗号資産事務ガイドラインでも、利用者がその請求によっていつでも借り入れた暗号資産の返還を受けることができるなど、暗号資産の借入れと称して、実質的に他人のために暗号資産を管理している場合には、同号に規定する暗号資産の管理に該当するとの解釈が示されています。

一方で、暗号資産の借入れで、一定の期限が到来するまでは利用者は解約することはできない場合には、暗号資産の借入れであって、暗号資産の預りとは異なると考えられます。

暗号資産(仮想通貨)の貸金は、注意が必要

以上のように、暗号資産の借り入れは、様々な問題があります。きちんと法律を守って、運用するようにしましょう!