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利用規約が契約内容となるための「同意の取り方」を改正民法に沿って解説【2023年10月加筆】

利用規約って、契約内容になるの?
よく受ける相談に、利用規約って契約内容になるの?という質問があります。
この点については、従来は、はっきりとしたルールがありませんでした。
しかし、2020年4月から施行された改正民法により、「定型約款」の規定が設けられ、利用規約が契約内容になるためのルールが規定されました。
利用規約が契約内容となるためには
改正民法においては、以下の場合において契約内容となるとしています。
- 利用規約を契約の内容とする旨の合意をしたとき
- 利用規約を準備した者があらかじめその利用規約を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき
これは、個別の規定について、利用者が認識していなかったとしても、契約内容になるのです。
利用規約の同意の取り方
改正民法では、利用規約において、利用規約が利用規約に適切に表示されるなどの措置が必要とされています。
具体的には、経済産業省が公表している「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」が参考になります。この準則では、ウェブサイトを通じた取引やウェブサイトの利用に関して契約が成立する場合に、ウェブサイト利用規約がその契約内容になるためには、以下の点に照らして、利用者が利用規約の条件に従って取引を行う意思をもってウェブサイト運営者に対して取引を申し入れたと認定できることが必要であるとされています。
- 利用規約があらかじめ利用者に対して適切に開示されていること
- 当該ウェブサイトの表記や構成及び取引申込みの仕組み
したがって、利用規約の内容が利用者に適切に開示されていない場合や利用規約に同意することが取引申込みの前提であることが適切に表示されておらず、利用者が当該サイト利用規約に従って取引を行う意思があると客観的に認定できない場合には、利用規約は無効とされているのです。
そして、具体的には、利用規約が契約の内容になると認められる場合の例として、以下の場合が挙げられます。
- ウェブサイトで取引を行う際に申込みボタンや購入ボタンとともに利用規約へのリンクが明瞭に設けるなど、利用規約が取引条件になっていることが利用者に対して明瞭に告知されかつ利用者がいつでも容易に利用規約を閲覧できるようにウェブサイトが構築されていることにより利用規約の内容が開示されている
- ウェブサイトの利用に際して、利用規約への同意クリックが要求されており、かつ利用者がいつでも容易にサイト利用規約を閲覧できるようにウェブサイトが構築されていることにより利用規約の内容が開示されている
反対に、利用規約が契約に組み入れられない(=契約の内容とならない)であろう場合の例は、以下が挙げられています。
- ウェブサイト中の目立たない場所にサイト利用規約が掲載されているだけで、ウェブサイトの利用につき利用規約への同意クリックも要求されていない場合
利用規約が契約内容になるための具体的な施策
以上のことからすると、事業者は、利用規約を提示する場合に、以下のことを気を付ける必要があります。
- ウェブサイト上に利用規約をわかりやすく掲載し
- 利用規約中に、「利用規約をご覧いただき、同意された場合のみ本サイトをご利用下さい」「本サイトをご利用いただく方は、上記利用規約に同意いただいたものとみなします」などの注意書きを記載
- ウェブサイトを利用して取引を行う場合には、利用規約が取引条件となっていることをウェブサイト上に明示
- 利用規約を掲載した上で、同意ボタンへのクリックを行う仕組みを設けること
なお、利用規約をスクロールした後や利用規約をダウンロードした後でないと同意ボタンを押せない仕組みは、必ずしも必要ではないですが、利用者に利用規約を確認する機会を必ず与えることになり、利用者が能動的に利用規約に同意を行う仕組みとなることから有益です。
このような仕組みにしておき、同意ボタンのクリックのログデータを保管しておくことで、万が一紛争になった場合に、利用者が利用規約の内容に同意していたことを立証することができます。
また、この場合には、利用者が同意した利用規約が,どのバージョンの利用規約であったのかを明らかにすることが必要であることから、利用規約のバージョン管理は重要です。
利用規約が無効にならないために
以上のように、改正民法によって、利用規約が契約になるためのルールが整備されました。
事業者は、このルールをきちっと守って、利用規約が無効にならないようにしましょう!