改正民法によって、瑕疵担保責任が、契約不適合責任に変更となりました。
この契約不適合責任によって、ユーザ側は、どのような請求ができるのでしょうか?
改正民法は、「仕事の目的物が契約の内容に適合しない場合」に「履行の追完を請求」することができると規定されました。
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。
旧民法では「瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するとき」は、履行の追完請求できないとされていましたが、改正民法では、これが削除されました。
そのため、該当する場合は、ユーザはベンダに対し、履行の追完を請求できます。
ただし、改正民法では、「売主(ベンダ)は、買主(ユーザ)に不相当な負担を課するものでないときは、買主(ユーザ)が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる」から、修補に過分の費用を要する場合、ベンダとしては仕様書とおりではなくても、代替手段を提供し、ユーザがシステムを利用可能な状況にすることで、義務を履行したことになります。
また、今回の契約不適合責任で、ユーザからベンダに対し、代金減額請求ができるとされました。
前条第1項本文に規定する場合において、買主(ユーザ)が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主(ユーザ)は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
3 第1項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前2項の規定による代金の減額の請求をすることができない。
売主(ユーザ)としては、まずは、履行の追完を求めることになりますが、履行の追完がされない場または期待できない場合、代金の減額を請求できます。
システム開発において、納品されたシステムに障害・不具合が発見された場合や一部の機能が欠落していた場合等において、ユーザがベンダに対し催告しても期間内に追完されなかった場合や、催告しても追完される見込みがない場合には、履行の追完を請求するかわりに、代金の減額を請求することができます。
ユーザとしては、契約不適合責任は、ベンダに対して請求できる武器になるものです。
なので、どういう場合に、何が請求できるのかは、きちんと把握しておきましょう!