システム開発において、損害賠償請求をする場合には、ベンダが納期遅延などの契約条件に違反した場合と納品後にバグなどがある場合があります。
今回は、このような場合に、ユーザがベンダに対して、損害賠償請求する場合の規定を見ていきます。
このような契約違反のことを、法律上は債務不履行といいます。
このようなベンダ側が債務不履行には、ユーザ側は損害賠償などを請求できます。
この点、民法改正では、納期遅延などの場合やシステム開発自体ができなくなった場合にユーザが損害賠償請求するためには、ベンダ側の帰責事由(故意・過失など)が必要とされました。
もっとも、納期遅延などがあれば、通常は、ベンダの帰責事由があるのは明らかです。
これに対し、ベンダ側の方で、損害賠償請求を免れたいのであれば、以下の点をを立証する必要があります。
システム開発プロジェクトに関する損害賠償請求権は「商行為によって生じた債権」となるのが通常であり、旧商法が適用され、5年で消滅時効になります。
これに対し、改正民法では、「損害賠償請求できることを知った時」から5年、「損害賠償請求できるようになった時」から10年になりました。
通常のシステム開発では、納期遅延などが起こった場合には、いつから納期遅延したかは明らかなので、納期遅延したときから5年です。
納品後にバグがある場合には、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)によって、ユーザ側は損害賠償請求することが可能です。
この点、改正前の民法では、瑕疵担保責任については、ベンダの無過失責任されていました。つまり、ベンダのせいではなくでも、バグが発生したら、ベンダが責任を取ってねという規定でした。
この点、改正民法では「契約不適合」の損害賠償請求についても、ベンダの帰責事由になります。
そうなると、改正前の無過失責任とされる現行法上の瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求とを比較すると、改正民法のほうが、損害賠償請求できる場面が限定されることになります。
この点だけみると、ベンダに有利な変更と評価できますが、改正前から、契約上で損害賠償請求できるのは、ベンダに帰責事由が認められる場いいに限定されていることも多いから、それほど大きな影響はないのが現状かと思います。