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著作権侵害をされたときの有効手段?差止めの仮処分とは 【2022年10月加筆】

著作権に関する法律

著作権侵害をされたときは…

著作権侵害をされたときに、当事者で話がつかなければ、損害賠償請求の訴訟をする必要があります。しかし、差止請求(削除請求)のみを行うのであれば、仮処分の申立てという手段もあります。

仮処分のメリットは以下の通りです。

迅速性

雑誌の発行や映画の上映などが行われる前に、著作権侵害がされているという情報を掴むことができ、かつ、その発行や上映の時期が差し迫っているようなケースでは、本案訴訟を提起して判決を得る時間はありませんので、著作権侵害の差止めを求める仮処分を申し立てることが考えられます。

このようなケースにおける仮処分事件では、迅速に審理が行われ、発行や上映が行われる前に侵害/非侵害の結論が出ることもあります。

手続上のメリット

著作権侵害の差止めを求める仮処分は、仮の地位を定める仮処分(争いがある権利関係について、訴える側に生じる著しい損害又は急迫な危険を避けるために暫定的な措置をすることを求める仮処分)であり、「口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。」とされています。

この口頭弁論又は審尋の期日の呼出しは、正式な送達手続による必要がなく、「相当と認める方法」によることができると規定されています(民事保全規則3条1項)。

特に相手方が海外に居住、所在するような場合、正式な送達手続を行うと時間がかかってしまいますので、相当と認める方法(海外の場合は、国際スピード郵便(EMS)などが利用されます。)で足りる仮処分手続を利用するメリットがあります。

また、仮処分事件に関しては、取下げに債務者の同意が不要である点や、申立てに要する印紙額が本案訴訟に比して低額で済むというようなメリットもあります。

そういった利点を活かして、裁判所の関与のもとで和解の話し合いを行うことを目的に、仮処分の申立てを行うこともあります。