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美術品販売時の画像利用について著作権の問題を解説
美術品や写真の販売で商品を紹介するために商品画像を利用したい場合には、権利者の許諾は必要なのでしょうか。
目次
商品画像の利用
インターネットの通販サイトや商品カタログには、売手が販売(または貸与)しようとしている商品の画像が掲載されていることが通常です。
商品となった著作物を通販サイトや商品カタログに掲載することは、本来は著作権者の許諾のない限り元の著作物の複製権や公衆送信権を侵害する行為ですが、商品の大きさやデザイン、使用感などを伝える画像は、買手からすると、商品購入の判断に非常に有益な情報ですので、売手としてはこのような画像をぜひとも買手に示したいところです。
そこで、著作権法は、このような商品の売手と著作権者の利益を調整するため、限定的なルールの下で、通販サイトやカタログで著作物を提供できるようにしています(著作権法47条の2、同施行令7条の3、同規則4条の2)。
コンテンツ利用を可能とする基準
著作権法では、以下のいずれかの基準を満たす場合に、商品となっている著作物を複製し、または公衆送信して表示できることとしています。
複製する場合の基準
- 図画として複製する場合、表示の大きさが50平方センチメートル以下である
- デジタル方式により複製する場合、画像を構成する画素数が32400以下である
- ①②のほか、表示の大きさまたは精度が、商品の大きさまたはこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡または貸与の申出のために必要な最小限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致するものであると認められること
公衆送信(インターネット上の公表)する場合の基準
複製防止手段を用いない場合
- 画像を構成する画素数が32400以下である
- ①のほか、表示の精度が、商品の大きさまたはこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡または貸与の申出のために必要な最小限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致するものであると認められること
複製防止手段を用いる場合
複製防止手段(コピープロテクション)を施す場合には、以下のとおり、そうでない場合よりも緩やかな基準で利用が認められます。
- 画像を構成する画素数が90000以下である
- ①のほか、表示の精度が、商品の大きさまたはこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡または貸与の申出のために必要な最小限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致するものであると認められること
なお、これらの基準により利用することができる著作物は美術(絵画、版画、彫刻など)または写真の著作物に限られており、小説や映画などのコンテンツは含まれていないことに注意が必要です。
表紙、パッケージ等の外観であれば美術にあたりますので、上記の基準に従い利用することができます。