景品表示法5条は、自己の供給する商品・サービスの内容や取引条件について、競争事業者のものよりも、著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される表示などを不当表示として禁止していますが、競争事業者の商品・サービスとの比較そのものを制限しているわけではありません。
むしろ、正しい比較がなされれば、消費者にとって、商品・サービスの選択において極めて有益な情報となります。
他方、商品等の比較は、消費者にとって手軽で分かりやすい情報であるからこそ、それが客観性・正確性を欠く場合には、消費者の選択を阻害するおそれが大きいと考えられます。
比較広告については、「比較広告に関する景品表示法上の考え方」(比較広告ガイドライン)が公表されています。
比較広告ガイドラインによれば、比較広告が不当表示とならないようにするためには、次の三つの要件を全て満たす必要がある。
表示を義務付けられている事項、又は通常表示されている事項であって、主張する長所と不離一体の関係にある短所について、これを表示せず、または明瞭に表示しない場合、商品全体の機能、効用等について一般消費者に誤認を与えるので、不当表示となるおそれがあります。
景品表示法で問題となる事例として、消費者庁ウェブサイト「比較広告」では以下の例が挙げられている。
日本ではライバル業者の商品と直接比較するような広告はあまり行われないが、売上実績、顧客満足度、販売価格、商品・サービス内容(特に効果・性能)等について、「No.1」、「第1位」、「日本一」等の表示(いわゆる「No1表示」)がよく見られます。
これらも比較広告の一種であり、その表示が、商品・サービスの内容の優良性や取引条件の有利性について一般消費者に誤認を与える場合には不当表示として問題となります。
No.1表示についても、考え方は比較広告一般と共通であり、①表示の内容が客観的な調査に基づいていること、②調査結果を正確かつ適正に引用していることの両方を満たす必要があり、②を満たすためには、直近の調査結果に基づいて表示するとともに、No.1表示の対象となる商品等の範囲、地理的範囲、調査期間・時点、調査の出典についても、当該調査の事実に即して明瞭に表示する必要があります。