IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
グローウィル国際法律事務所
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自社の商品が優れていることを宣伝広告(比較広告)の法律的注意点

IT企業のための法律

比較広告と景品表示法

景品表示法5条は、自己の供給する商品・サービスの内容や取引条件について、競争事業者のものよりも、著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される表示などを不当表示として禁止していますが、競争事業者の商品・サービスとの比較そのものを制限しているわけではありません。

むしろ、正しい比較がなされれば、消費者にとって、商品・サービスの選択において極めて有益な情報となります。

他方、商品等の比較は、消費者にとって手軽で分かりやすい情報であるからこそ、それが客観性・正確性を欠く場合には、消費者の選択を阻害するおそれが大きいと考えられます。

比較広告については、「比較広告に関する景品表示法上の考え方」(比較広告ガイドライン)が公表されています。

比較広告ガイドラインによれば、比較広告が不当表示とならないようにするためには、次の三つの要件を全て満たす必要がある。

比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること

  • 実証の範囲については、比較広告で主張する事項の範囲において実証されていることが必要であり、それで十分である。
  • 実証は、確立された方法がある場合はその方法で、ない場合は社会通念上妥当と考えられる方法などによって、主張する事実が存在すると認識できる程度まで行われている必要がある。
  • 実証機関については、それが広告主とは関係のない第三者である場合は、その調査は客観的なものと考えられる。

実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること

  • 引用は、実証されている事実の範囲で行う必要がある。調査結果の一部を引用する場合には、調査結果の趣旨に沿って引用する必要がある。
  • 調査結果を引用して比較する場合には、一般消費者が調査結果を正確に認識できるようにするため、調査機関、調査時点、調査場所等の調査方法に関するデータを広告中に表示することが適当である。

比較の方法が公正であること

  • 特定の事項について比較し、それが商品・サービスの全体の機能、効用等に余り影響がないのに、あたかも全体の機能、効用等が優良であるかのように強調する場合、不当表示となるおそれがある。
  • 社会通念上同等のものとして認識されていないものなどと比較し、あたかも同等のものとの比較であるかのように表示する場合、不当表示となるおそれがある。

表示を義務付けられている事項、又は通常表示されている事項であって、主張する長所と不離一体の関係にある短所について、これを表示せず、または明瞭に表示しない場合、商品全体の機能、効用等について一般消費者に誤認を与えるので、不当表示となるおそれがあります。

比較広告が景品表示法上の問題となる事例

景品表示法で問題となる事例として、消費者庁ウェブサイト「比較広告」では以下の例が挙げられている。

  • パソコンメーカーが、「この技術は日本で当社だけ」と表示したが、実際は他社でも同じ技術を採用したマシンを販売していた。
  • 予備校が、大学合格実績No.1と表示したが、他校と異なる方法で数値化したもので、適正な比較ではなかった。
  • 携帯電話通信業者が、店頭チラシの料金比較で、自社が最も安いように表示したが、実は自社に不利となる割引サービスを除外して比較していた。
  • 酒類量販店が、新聞折り込みチラシで、「この辺で一番安い店」と表示していたが、実際は周辺の酒店の価格調査をしておらず、根拠のないものであった。

No.1表示

日本ではライバル業者の商品と直接比較するような広告はあまり行われないが、売上実績、顧客満足度、販売価格、商品・サービス内容(特に効果・性能)等について、「No.1」、「第1位」、「日本一」等の表示(いわゆる「No1表示」)がよく見られます。

これらも比較広告の一種であり、その表示が、商品・サービスの内容の優良性や取引条件の有利性について一般消費者に誤認を与える場合には不当表示として問題となります。

No.1表示についても、考え方は比較広告一般と共通であり、①表示の内容が客観的な調査に基づいていること、②調査結果を正確かつ適正に引用していることの両方を満たす必要があり、②を満たすためには、直近の調査結果に基づいて表示するとともに、No.1表示の対象となる商品等の範囲、地理的範囲、調査期間・時点、調査の出典についても、当該調査の事実に即して明瞭に表示する必要があります。