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IT企業が事業提携契約で規定すべき項目と注意点【解説】

IT企業のための法律

IT企業には、よくある事業提携契約

IT企業では、全て自社でビジネスが完結することは稀で、外部事業者と事業提携することが多いと思います。

事業提携を行なう場合には、当然ながら何のために提携するのかその目的があります。多くの人は契約書に事業提携契約を締結します。

しかし、この内容が「具体的に」契約書に記載されていないために、結果として事業提携が意味のないものになってしまったり、知的財産権・ノウハウを一方的に提供させられたうえ、その知的財産権等を利用されてしまうといったことが起こっています。

そこで、今回は、事業提携契約で規定すべきポイントについて解説します。

知的財産権・ノウハウの取扱いを明確にする

事業提携を行う際にトラブルとなりやすい事柄の一つが、知的財産権やノウハウに関するものです。

事業提携を行なうためには、互いにもっている情報を相手に提供し、その情報を事業の発展のために利用することがありますが、その情報の中には知的財産権が含まれていたり、自社にとって大きな資産価値のあるノウハウなどが含まれていることがあります。

このように、それだけ大きな価値のある情報であることから、契約書でその提供する情報や知的財産権等についての取扱いを明記しておかないと、相手にいいように使われてしまうことがあります。

具体的には、提供する情報の範囲を明記することにより、自社が想定していない情報まで提供することを強制されることを防ぐと同時に、相手が必要な情報を出さず、事業提携が頓挫するのを防ぐことができます。

提供した情報の利用範囲

さらに、提供した情報の利用範囲を制限することにより、事業提携に無関係なところで利用されないようにすることも必要です。

この際、「その他関連する事業」といった文言には要注意です。

何が関連するのかをめぐって争いになることがありますので、関連する事業はできる限り具体的に明記するようにし、このような幅広く解釈できる条項が本当に必要であるかをよく検討すべきでしょう。

また、事業提携によって得られた新たな知的財産権やノウハウ、データ等の情報についても取扱いも規定しておくべきです。

提携している事業の目的物のみのために使用できるのか、それともそれぞれ自由に使ってよいのか、事業提携や共同開発の目的に応じてどのように取り扱うべきかを協議し、契約書に明記しておくことでトラブルを回避できます。

事業提携の解消時の取扱いを明記する

事業提携を行なったものの、思ったような成果を上げられず、解消しなければならないことも当然ながら起こります。

このような事態になった場合、相手との関係が円満なままであればよいのですが、関係が悪化してしまい、関係解消をめぐってトラブルになってしまうこともあります。

そこで、契約書に関係解消についても規定しておくことが重要です。

関係解消のためには、何よりもまず関係を解消できる場合・条件を明記することが必要です。

  • 一定期間(たとえば6か月前)をおいて通知することにより、合理的な理由がなくても解消できるとする方法
  • 契約書に規定された義務を果たさない場合にだけ解消を認める方法

また、以下についても決めておくことが重要です。

  • 事業提携の期間
  • 更新の有無・条件

そのうえで、事業提携の解消時の権利関係についてどのように取り扱うかを規定しておきます。

とくに、資本提携(事業提携に伴って、一方が、または互いに相手の株式をもつこととした場合)している場合や、合弁会社をつくったような場合には、この関係をどう解消していくかを規定しておかない。 とトラブルになりやすいので、気をつけなければなりません。

知的財産権の解消後の取扱い

また、知的財産権やノウハウ等の情報の取扱いについても、解消後の取扱いについて規定しておくことが必要です。

  • 提供されたデータは返還・破棄するのか/li>
  • 事業提携で、得られた成果をどのように扱うか

事業提携については、しっかりと契約を

事業提携は、飛躍的に自社の事業を発展させることができる可能性を秘めている反面、失敗したときにはその反動も大きくなってしまいます。

しっかりとした契約を締結しておきましょう!