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医療機関の広告・ホームページ表現の法律的注意点「医療機関ネットパトロール」対策

インターネット法律

厚生労働省「医療機関ネットパトロール」を開始

厚生労働省が、8月24日から、医療機関のウェブサイト上の虚偽・誇大広告を取り締まる目的で、「医療機関ネットパトロール」を開始したと発表しました。

このネットパトロールは、医療機関のウェブサイトや広告に、虚偽の表現や「盛った」表現ないか監視するもので、厚労省に委託された日本消費者協会が監視の業務を行います。

「医療機関ネットパトロール」

不適切な表現には日本消費者協会が修正を求め、従わない場合は行政による改善指導につなげる。行政による指導後も、ウェブサイトが改善されたかどうかの追跡調査もおこなうという徹底ぶりです。

医療機関にとっては、ウェブサイトの記載や広告表現について、今一度、見直す必要がありますが、具体的にセーフorアウトの境界線は、どこにあるのでしょうか?

医療機関のウェブサイト・広告のNG表現について

医療機関におけるホームページなどのウェブサイトの表現については、医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)に記載されています。

このガイドラインでは、以下のような表現は、NGとされています。

内容が虚偽にわたる、又は客観的事実であることを証明することができないもの

内容が虚偽の表現は、当然NGですが、事実かどうか判断できない事項を記載することもNGとされてます。

具体的には、以下のような例です。

  • 加工・修正した術前術後の写真等の掲載
    ⇒あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した術前術後の写真等
  • 当院では、絶対安全な手術を提供しています
  • どんなに難しい症例でも必ず成功します
    ⇒このような評価が伴う事実がどうか判断できない表現もNGです。
  • ○%の満足度 (根拠・調査方法の提示がないもの)
    ⇒ データの根拠(具体的な調査の方法等)を明確にせず、データの結果と考えられるもののみを示すものについては、虚偽にわたるものとして取り扱うべきとされています。
    ⇒また、非常に限られた国民・患者を対象に実施された調査や謝金を支払うことにより意図的に誘導された調査の結果など、公正なデータといえないものについても、虚偽にわたるものとして取り扱うべきであるとされています。

他との比較等により自らの優良性を示そうとするもの

「日本一」 「No.1」 「最高」又は不特定の他の医療機関(複数の場合を含む )と自らを比較の対象 し、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、自らの医療機関が他の医療機関よりも優良である旨を示す表現は、仮に事実であったとしても、優良性について国民・患者を誤認させ、不当に誘引するおそれがあるものであり、ホームページに掲載すべきでないとされています。

ここでのポイントは、事実であっても、ウェブサイトに掲載してはいけないということです。

医療機関にとって便益を与える体験談の強調

当該医療機関にとって便益を与えるような感想等のみを意図的に選び、掲載するなどして強調することは、国民・患者を誤認させ、国民・患者を不当に誘引するおそれがあるものであり、ホームページに掲載すべきでないとされています。

また、国民・患者に謝礼を支払うなどして、当該医療機関にとって便益となるような感想等のみが出されるように誘導し、その結果をホームページ、広告に掲載することについても、同様に行うべきでないとされています。

早急な受診を過度にあおる表現又は費用の過度な強調

国民・患者に対して早急な受診を過度にあおる表現、費用の安さ等の過度な強調・誇張等については、国民・患者を不当に誘引するおそれがあることから、ホームページ、広告に掲載すべきでないとされています。

  • ただいまキャンペーンを実施中
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  • 通常、100,000円のところを、50,000円
  • ○○治療し放題プラン

科学的な根拠が乏しい情報に基づき、国民・患者の不安を過度にあおるなどして、医療機関への受診や特定の手術・処置等の実施を不当に誘導するもの

科学的な根拠が乏しい情報であるにもかかわらず、国民・患者の不安を過度にあおるなどして不当に誘引することは、厳に慎むべき行為であり、そうした内容については、ホームページに掲載すべきでないとされています。

  • ○○の症状のある二人に一人が○○のリスクがあります
  • こんな症状が出ていれば命に関わりますので 今すぐ受診ください

 自由診療の場合に、ホームページに掲載すべき事項

自由診療を行う場合には、以下のような事項を、ホームページに記載する必要があります。

  1. 通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項
  2. 治療等のリスク、副作用等に関する事項

ホームページのURL、Eメールアドレスにも気をつける

病院等のホームページのURLやEメールアドレス等に、病気を治療することを連想させるようなものを入れるのはNGです。

また、比較広告を連想させるようなものも、NGです。

例:www.gannkieru.ne.jp

ガン消える(gannkieru)とあり、癌が治癒することを暗示しています。

治療の効果に関することは、広告可能な事項ではなく、また、治療を保障している誇大広告にも該当し得るものであり、認められません。

例:nolhospi@xxx.or.jp

「nolhospi」の文字は、「No.1 Hospital」を連想させ、日本一の病院である旨を暗示しています。「日本一」等は、比較広告に該当するものであり、認められません。