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医療・ヘルスケア情報のアプリ提供における法律的規制【医行為】【2021年7月加筆】

IT企業のための法律

医療情報サービスについての法律とは

医療、ヘルスケアサービスについては「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、または危害を及ぼすおそれのある行為」に該当する場合「医行為」に該当します。

「医行為」に該当する場合には、医師でない者が行うことは禁止されています。

したがって、アプリ・ウェブサイト上において利用者からの医療・ヘルスケアに関する相談や質問を受け付け、医師ではない事業者まが、これに回答するというサービスを提供しようとする場合には、「医行為」に該当しないようにする必要があります。

厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、「オンライン診療」、「オンライン受診勧奨」および「遠隔健康医療相談(医師/医師以外)」の3種類について「医行為」の範囲について指摘しています。

オンライン診療

  • 高血圧患者の血圧コントロールの確認
  • 利用の患者を骨折疑いと診断し、ギプス固定などの処理の説明等を実施

オンライン受信勧奨

  • 医師が患者に対し詳しく問診を行い、医師が患者個人の心身の状態に応じた医学的な判断を行ったうえで、適切な診療科への受信勧奨を実施(発疹に対し問診を行い、「あなたはこの発疹の形状や色ですと蕁麻疹が疑われるので、皮膚科を受診してください」と勧奨する等)

遠隔健康医療相談

  • 子ども医療電話相談事業(♯8000事業):応答マニュアルに沿って小児科医師・看護師等が電話により相談対応
  • 相談者個別の状態に応じた医師の判断を伴わない、医療に関する一般的な情報提供や受信勧奨(「発疹がある場合は皮膚科を受診してください」と勧奨する等)
  • 労働安全衛生法に基づき産業医が行う業務(面接指導・保健指導、健康相談等)
  • 教員が学校医に複数生徒が嘔吐した場合の一般的対処方法を相談

このような行為は、「医行為」に該当します。

血液の簡易検査とその結果に基づく健康関連情報の提供の適法性

経済産業省が公表している産業競争力強化法7条に基づく「グレーゾーン解消制度」への申請案件において、以下のとおり、申請者が想定する具体的なサービスに係る「医行為」該当性について照会・回答がされている事例があります。

血液の簡易検査とその結果に基づく健康関連情報の提供について、利用者による自己採血、および、事業者による血液検査の結果の通知は「医業」に該当せず、事業者が、検査結果の事実の通知に加えてより詳しい検診を受けるよう勧めることも「医薬」に該当しません。

医師の指導・助言を踏まえ運動指導を行うことは、ストレッチやマシントレーニングの方法を教える等の医学的判断および技術を伴わない範囲内の運動指導であれば「医行為」に該当しません。

医師の指示・助言に基づき、健康・生活支援サービスメニュー(運動メニューや食事メニュー等)の作成、関連サービスの紹介、その利用状況の管理等を行う場合、利用者の個別の医療情報等を踏まえた医学的判断を伴うものではない範囲で行うことは「医行為」に該当しません。

また、以下も「医行為」に該当しないとされています。

  1. 適切な治療を受けることができる医療機関を患者に案内するために患者の居住地周辺の医療機関を案内する
  2. 疾患または医薬品に関する学術替、医学関連学会より公表されている診療ガイドライン、当該医薬品を製造・販売している製薬会社が作成した添付文書、インタビューフォーム、くすりのしおり、適正使用ガイド、ホームページ等で公開されている FAQ および患者指導資料に基づき、当該医薬品の適応症となっている疾患についての情報 (症状、診断基準、治療方法、薬物療法の内容等)や当該 医薬品に関する情親(副作用、使用上の注意等)を思者等 に提供する

医療情報サービスは、法律を守って行おう

医療関係のサービスは、法律で厳しく制限されています。

きちんと法律を確認し、サービスを行うようにしましょう!