企業がインフルエンサーと契約する場合には、インフルエンサーに対し、景品表示法、健康増進法、薬機法等の各法令順守を義務付けることが望ましいです。
インフルエンサーによる広告・宣伝は、記事内容について広告主が指示等関与している場合には、インフルエンサーによる記事についても広告主自体が法的責任を負う可能性があります。
現状日本において、インフルエンサーマーケティング自体を直接的に規制する法律はないものの、上記のとおり広告の内容に応じて各法令違反の責任が発生する可能性はあり、また、結果的にステルスマーケティングのような広告・宣伝となればレピュテーションが大きく下がるリスクもあります。
コンプライアンスの徹底という意味においては、インフルエンサーに対し、適用可能性のある法令を守ることを義務付けるのが得策です。
次にインフルエンサーにより作成され投稿される記事・写真画像・動画等の著作権の取り扱いについて明確に規定を行うことが必要です。広告主としては、投稿内容の継続的利用等を行いたいと考えることも多いと思われます。
また、しばしばインフルエンサー自身が当該記事・写真画像に登場することが想定されますが、その写真画像をその他メディアなどで使用したい場合には、著作権、肖像権やパブリシティ権の問題をクリアにしておくことが望ましいと考えられます。
したがって、以下のような点を明確化する契約条項が検討されます。
肖像権、パブリシティ権の使用許諾その他、同一のインフルエンサーにより競合商品・競合他社に関する同様のマーケティングが行われると、商品・サービスの混同等のおそれも発生するため、合理的な範囲での広告期間における競合商品・競合他社からの業務受託の制限条項なども検討されます。
広告代理店やインフルエンサーマーケティングの仲介業者を通じてインフルエンサーマーケティングを実行する場合には、インフルエンサーに対する直接のコントロールを行うのがそれら企業であることから、上記でみたような点について、起用するインフルエンサーとの間での契約義務付け、適切な契約を締結すべきことを盛り込んだ契約を締結することが検討されます。
その他、広告主の立場からは、広告代理店等に、起用したインフルエンサーの投稿の監視義務や、インフルエンサーが法令違反等の記事を作成した場合や無断での投稿の転用等があった場合の責任などについても規定を行うと良いでしょう。