IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
グローウィル国際法律事務所
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クラウドマイニングを行う際に法律的に注意するポイント【2024年2月加筆】

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

クライドマイニングとは

クラウドマイニングとは、一般に、投資家がビットコイン等の暗号資産のマイニングを行う事業者に対して出資し、当該事業者がマイニングにより得た暗号資産を出資割合に応じて分配する仕組みをいいます。

暗号資産(仮想通貨)に関する法律

クラウドマイニング事業が、資金決済法の暗号資産交換業に該当する場合には、行政への登録が必要になります。

クラウドマイニングにおける出資および暗号資産の分配は、暗号資産の交換等に該当しないことから、クラウドマイニングは暗号資産交換業には該当しません

金融商品取引法に関する法律

他方、クラウドマイニングは、いわゆる金商法上の集団投資スキームに該当する可能性があります。

集団投資スキームとは、次の3つから成り立ちます。

  1. その法形式を問わず、他者から金銭等の出資または拠出を受け
  2. 当該金銭等を充てて事業(出資対象事業) が行われ
  3. 出資者・拠出者に当該出資対象事業から生じる収益の配当または当該事業に係る財産の分配を行うものをいいます(金商法2条2項5号)。

この点、クラウドマイニングは、投資家から集めた資金を用いて、マイニング事業を行い、その事業から生じる収益等である暗号資産を投資家に分配する仕組みである場合、集団投資スキームに該当します。

そして、収益分配を受ける投資家の権利は、集団投資スキーム持分として、第二項有価証券に該当する可能性があります。

この場合、クラウドマイニングを行う事業者が出資の募集を行うためには、原則として、第二種金融商品取引業の登録が必要となります。

ただし、出資者のすべてが適格機関投資家である場合または出資者が1人以上の適格機関投資家と49人以下の投資判断能力を有すると見込まれる一定の者で構成されている場合には、 適格機関投資家等特例業務の要件を満たし、かつ、これにかかる届出を行うのであれば、上記の登録は必要とされていません。

マイニングマシンを販売し、そのマシンを預かる方式(2022年11月加筆)

上記のように集団的投資スキームに該当しないようにするために、以下のようなスキームでマイニング事業を行っている事業者もありました。

まず事業者が、出資者に対し、仮想通貨(暗号資産)のマイニングマシンを販売し、これに対し、出資者は、仮想通貨(暗号資産)のマイニングマシンの代金として事業者に金銭(仮想通貨)を支払います。その後、出資者が、購入をした暗号資産のマイニングマシンをマイニング業者に対して預託し、マイニングを業務委託するという契約形式です。

この場合、出資者が支払った金銭は、出資ではなく、仮想通貨(暗号資産)のマイニングマシンの代金です。なので、「出資」ではないので、集団的投資スキームには該当しないことになります。

しかし、これは預託法に抵触する可能性があります。従来の預託法については、規制対象の範囲が特定の商品に限定されていました。仮想通貨(暗号資産)のマイニングマシンは、規制対象の範囲に含まれていませんでした。

しかし、改正預託法(2022年6月施行)により、規制対象の範囲が全ての物品に拡大されたことになり、暗号資産のマイニングマシンも規制対象の範囲に含まれることになりました。

出資者が購入したマイニングマシンを預かる…といったスキーム自体が、改正預託法に引っかかる可能性があるのです。