クラウドマイニングとは、一般に、投資家がビットコイン等の暗号資産のマイニングを行う事業者に対して出資し、当該事業者がマイニングにより得た暗号資産を出資割合に応じて分配する仕組みをいいます。
クラウドマイニング事業が、資金決済法の暗号資産交換業に該当する場合には、行政への登録が必要になります。
クラウドマイニングにおける出資および暗号資産の分配は、暗号資産の交換等に該当しないことから、クラウドマイニングは暗号資産交換業には該当しません。
他方、クラウドマイニングは、いわゆる金商法上の集団投資スキームに該当する可能性があります。
集団投資スキームとは、次の3つから成り立ちます。
この点、クラウドマイニングは、投資家から集めた資金を用いて、マイニング事業を行い、その事業から生じる収益等である暗号資産を投資家に分配する仕組みである場合、集団投資スキームに該当します。
そして、収益分配を受ける投資家の権利は、集団投資スキーム持分として、第二項有価証券に該当する可能性があります。
この場合、クラウドマイニングを行う事業者が出資の募集を行うためには、原則として、第二種金融商品取引業の登録が必要となります。
ただし、出資者のすべてが適格機関投資家である場合または出資者が1人以上の適格機関投資家と49人以下の投資判断能力を有すると見込まれる一定の者で構成されている場合には、 適格機関投資家等特例業務の要件を満たし、かつ、これにかかる届出を行うのであれば、上記の登録は必要とされていません。
上記のように集団的投資スキームに該当しないようにするために、以下のようなスキームでマイニング事業を行っている事業者もありました。
まず事業者が、出資者に対し、仮想通貨(暗号資産)のマイニングマシンを販売し、これに対し、出資者は、仮想通貨(暗号資産)のマイニングマシンの代金として事業者に金銭(仮想通貨)を支払います。その後、出資者が、購入をした暗号資産のマイニングマシンをマイニング業者に対して預託し、マイニングを業務委託するという契約形式です。
この場合、出資者が支払った金銭は、出資ではなく、仮想通貨(暗号資産)のマイニングマシンの代金です。なので、「出資」ではないので、集団的投資スキームには該当しないことになります。
しかし、これは預託法に抵触する可能性があります。従来の預託法については、規制対象の範囲が特定の商品に限定されていました。仮想通貨(暗号資産)のマイニングマシンは、規制対象の範囲に含まれていませんでした。
しかし、改正預託法(2022年6月施行)により、規制対象の範囲が全ての物品に拡大されたことになり、暗号資産のマイニングマシンも規制対象の範囲に含まれることになりました。
出資者が購入したマイニングマシンを預かる…といったスキーム自体が、改正預託法に引っかかる可能性があるのです。