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法律観点からみる「ICOのホワイトペーパー」で記載するべき項目とは

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

ICOに必須のホワイトペーパー

ICOをする場合には、ホワイトペーパーという資料を公表することが一般的です。このホワイトペーパーをみて、投資家は、投資するかどうか決定するので、このホワイトペーパーの記載は、非常に重要です。

ホワイトペーパーには、事業上の必要な項目も多いですが、法律的な観点からも、記載しておいた方がよい事項、記載するのが必須の事項があります

今回は、ICOのホワイトペーパーに必要な事項について、解説していきます。

ICOホワイトペーパーの分析

近年、ICOが成功した例として、TelegramやPetro、日本においては、ALISなどがあります。

その他、たくさんのICOがありますが、これらのICOのホワイトペーパーを分析してみると、必要な事項があります。

記載が必要な事項

ホワイトペーパー必要な事項については、以下のような項目があります。

  1. プロジェクト内容
  2. 実施主体の情報
  3. 使用ブロックチェーン
  4. コンセンサスアルゴリズム
  5. トークンの単位
  6. 調達資金の使途
  7. トークンの配分
  8. トークンの配布方法
  9. ロードマップ
  10. プロジェクトメンバー

これらの内容は、ICOを実施するにあたっては不可欠な事項です。

プロジェクト内容

ICOをすることによって、何を実現したいかなど、プロジェクト内容の説明は多くの分量が割かれています。

まずは、現状の課題の指摘から始まり、トークンを用いた問題解決方法が説明されています。

使用するトークンは既存の仮想通貨、トークンと何か異なるのか、どのようにトークンエコノミーを形成していくのかをシンプルに説明できるホワイトペーパーが、資金調達に成功しているといえます。

実施主体やプロジェクトメンバーの情報

実施主体やプロジェクトメンバーの情報は、明示によって、責任追及の対象を明らかにすることができるため、記載されることが多いです。

詐欺的なICOを防止し、トークン購入者の信頼を確保するためには、ICOの実施者の情報を明らかにすることが重要です。

プロジェクトメンバーはCEO、CTO等のコアメンバーを掲げるほか、エンジニアや法務、広報アドバイザーを数多く記載する例も多くあります。

アドバイザーとしては、金融のプロフェッショナルや、弁護士や会計士などの専門職が名を連ねることもあります。このプロジェクトメンバーの経歴や実績は、ICOの成功に直結するもので、非常に重要です。

調達資金の使途

当然ですが、ICOで調達した資金を何に使うのかを明示する必要があります。

調達資金の使途としては、開発資金として半分程度、その他、アドバイザーへの支払に20%程度など、具体的な記載が必要です。

トークン配分においては、いずれも50%近くはトークン購入者に割り当てられていたり、数年間売却しないことを条件に開発チームにトークンを割り当てるといったベスティング条項がついている例もあります。

トークン購入者からすれば、開発チームがプロジェクトから離れず専念すると信頼できる材料になると考えられます。

法律的に記載が望ましい事項

ICOのホワイトペーパーには、事業上、必要ないかもしれませんが、法律的には、必要な事項は以下のような項目があります。

ICO特有のリスク・免責事項

トークンは、もともとボラティリティは高く、投資元本を割るリスクがあること、ハッキングのリスクがあること等のICO特有のリスクはホワイトペーパー記載した方がよいでしょう。

また、ICO事業者の責任ではない事項、例えば、トークン購入者の不注意によるトークン紛失等については、責任を負わないという免責条項は詳細に記載しておく必要があります。

さらに、ICOプロジェクトは、挑戦的な内容が多く、必ず成功するとは限りません。

一生懸命やったが、成功しないという可能性も多いにあります。ICOの実施者が最善を尽くしたにも関わらず、プロジェクトが頓挫してしまった場合等も想定して免責事項を設ける必要があります。

ICOでは不特定多数から莫大な金額を集めるため、一部のトークン購入者からプロジェクト未遂行により損害を受けたと請求を受ければ、多額の請求・訴訟に発展してしまうリスクがあります。

各国の法律的規制への対応

ICOは、各国において、法律的な立場が分かれます。

中国やアメリカなど「海外のICO規制」の現状はどうなっているの【解説】

よって、事業者としては、ICOを実施するに当たっての各国の規制への対応について、どうするかもホワイトペーパーに記載すべきです。

また、ICOについては、法律的に明日ダメになるといったリスクがあります。このような事業者の事情によらないでとん挫するリスクもありますので、その場合の対応も規制すべきです。