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中国やアメリカなど「海外のICO規制」の現状はどうなっているの【解説】

海外のICO規制はどうなっているの?
日本居住者向けのICOについては、金融庁が厳格に解釈して規制しているので、なかなか日本法人で行うのは、難しいのが現状です。
では、日本以外の外国のICO規制は、どうなっているのでしょうか?
弊社は、シンガポールを含め、海外にも会社があり(SAMURAI INNOVATION PTE.Ltd)、海外の法規制の動向を常にチェックしています。そこで、今回は、海外のICO規制について、解説していきます。
中国のICO規制
2017年9月4日、中国政府は、ICOによる資金調達は、経済や金融の秩序を大きく乱すとして、ICOについては、全面禁止とされました。
2018年7月9日には、中国のインターネット金融改正作業部会において、中央銀行の副代表によって、中国居住者に向けられた海外法人のICOについても、拒絶する姿勢が示されました。
ただし、最近により、中国高官が、ライセンス規制が整備された後に、ICOを解除するなどの発言があるなど、ICOについて、規制を緩和するような言動が見られるようになってきました。
韓国のICO規制
2017年9月29日、韓国金融委員会(FSC)は、あらゆる形式のICOを禁止する方針を明らかにしました。
しかし、最近、韓国では、ICOを合法化する法案を次期国会に提出するとされました。まだ、法案の中身は、分かりませんが、ICOが合法化されれば、韓国でのICOが活発になるかもしれません。
フィリピンのICO規制
フィリピンの証券取引委員会(SEC)は「イニシャル・コイン・オファリング(ICO)に関する規制」を公表しました。
この規制の中では、フィリピン法人で、ICOを実施する計画の企業、ICOトークンをフィリピン人に販売する企業は全てトークンの安全性を検査するため「初期査定要求」を提出する義務があります。
また、ICOトークン発行主体は、販売の少なくとも90日前には提出する必要があります。
なお、トークンの販売の投資家が、20人以下の個人、もしくは限られた数の機関投資家の場合は、SECへの登録は免除されます。
アメリカのICO規制
2016年7月25日には、アメリカ証券取引委員会(SEC)はトークンについて、米国証券法上、有価証券であると位置づけたレポートを発表しました。
この中で、ICOによる資金調達は、米国証券取引法規制の対象であるとされました。
米国では、有価証券について、最高裁判例で、以下の基準があります。トークンについても、以下の基準に該当すれば、米国法上の有価証券になります。
- 金銭による投資か
- 投資により、利益が期待できるか
- 共同事業に対する投資か
- 第三者の努力により利益がもたらされるものか
トークン、有価証券にあたると、トークンの勧誘及び販売は、米国証券取引委員会に登録される必要があります。
しかし、米国証券取引委員会への登録は、非常に困難です。よって、事業者としては、登録免除要件がないかを検討する必要があります。
登録免除要件としては、以下のような要件があります。
登録免除要件~(1)適格投資家の報告
事業者としては、トークンの投資家が、適格投資家であることを、SECに報告することが必要です。
適格投資家とは、過去2年間の年収が、20万ドル以上、または純資産が100万ドル以上の条件を満たした投資家を指します。
登録免除要件~(2)海外居住者に対しての販売
アメリカ国外での販売であれば、登録が義務はありません。
しかし、アメリカ国外での販売であるかどうかは、トークンの販売が、アメリカ国民を対象とせず、アメリカ国民に対して、販売勧誘を行わないことが必要です。
ICOプロジェクトの中には、SECの当該規制を回避するために、「あなたはアメリカ国民ではありませんか?」というチェックボックスに同意させているものがあります。
シンガポールのICO規制
シンガポールについては、2017年11月に「A GUIDE TO DIGITAL TOKEN OFFERINGS」が公表されています。
このガイドラインによると、トークンが、いかに当てはまる場合は、有価証券に該当するとして、目論見書の提出等を求めています。
- 株式としての性質がある場合(利益配当など)
- 発行者の負債をトークン化する場合
このガイドラインでは、具体的にどういったケースで、有価証券になるかの事例が紹介されています。
たとえば、トークンが、決済手段のみを目的として発行されるトークンは、有価証券の対象外とされています。
また、ICOでの調達金額が小さい場合(1年間で500万シンガポールドルを超えない等)や、適格投資家を対象としている場合には例外を認めています。
スイスでのICO規制
スイスは、ICOについて、2018年2月16日に、スイス金融規制当局(FINMA)から「ICO guidelines」が公表されています。
このガイドラインによると。ICOトークンについて、下記の3つに分類し、その規制の有無について、記載しています。
- ユーティリティトークン
いわゆる、ユーティリティトークンの場合には、有価証券として扱わないとしています。 - 決済手段としてのトークン(ペイメントトークン)
トークンが、決済手段としてのみの機能であれば、有価証券として扱わないとしています。 - アセット型のトークン
トークン保有者に配当があるなどの、株式に近い機能を有しているトークンは、有価証券として扱われます。
このように、トークンを分類をして、トークンごとに、規制の有無を解説しているのが特徴です。
スイスでのICOについては、自社のトークンの性質を見極めて、規制の対象なのかを見極める必要があります。
エストニアのICO規制
エストニアではICOが許可されており、政府は資金を調達するために独自のトークンセールを実施することを検討しています。
香港のICO規制
香港では、中国本土とは異なりICOの全面禁止は行われておらず、法律に従って正規の手続きを行ったものについては容認するという姿勢を示しています。
ただ、香港の証券先物委員会は2018年2月9日付の声明で、ICOには詐欺的なものも多いので、注意するように促しています。
また、香港証券先物委員会としては、ICOトークンに対する取締りは、随時、法律に基づいて、規制するとしています。
これは香港のICO規制は基本的にはアメリカの証券取引委員会の方針を踏襲しているためで、証券に該当するトークンについては対応する法律に従って監督官庁の認可が必要になります。
ドイツのICO規制
ドイツでは、2018年3月29日、証券取引委員会(BaFin)が、ICO規制に関するガイドラインを発表しました。
その中で、ドイツも、トークンの性質に着目し、トークンが以下のような性質があるのであれば、既存の法律で、規制されるとしました。
- 証券と評価できるトークン⇒証券目論見書法の適用
- 資産と評価できるトークン⇒資産投資法の適用
- 株式と評価できるトークン⇒資本投資コードの適用
また、以下の要件を満たす場合には、トークンは、証券となるとされています。
- 会員としての権利、またはそれに類する権利がある
- 譲渡可能であり、市場で売買できる
- 支払い手段でない
- 取引履歴が、ブロックチェーン上に記帳されている
イギリスとICO規制
イギリスは、金融監督庁Financial Conduct Authority (FCA)から「Initial Coin Offerings」が発表されました。
この中では、ICOのリスクを紹介し、詐欺の可能性はあるので、注意するようにという警告がありました。
また「多くのICOは、海外で実施され、FCAによる規制の対象外である」として、海外ICOについては、イギリスの規制の対象外とされています。
ICOの法規制については、トークンの性質によって判断されるとし、トークンが証券に該当する場合には、法規制されるとしています。ただし、今後の法規制については、今後の議論していくとしています。
オーストラリアのICO規制
オーストラリア証券投資委員会(ASIC)は、ICOに関して「Initial coin offering」というガイドラインを発表しました。
ただし、このガイドラインは、ICOが、既存の法律(オーストラリアの消費者法や企業法)の適用がある可能性があることを示しているに過ぎず、具体的な法規制には言及していません。
フランスのICO規制
フランスでは、2018年9月18日に、ICOについて、金融市場庁により、ライセンスを付与することに可能とする法案が可決されました。
ICOを合法化についての法案が承認されたことが大きな話題になりました。
ブリュノ・ル・メール経済・財務相も、ICOに関する既存の法的枠組みが「世界中から投資家を呼び込むだろう」との期待も示しました。
アラブ首長国連邦(ドバイ)
アブダビ・グローバル・マーケット(ADGM)の金融サービス規制庁(FSRA)は、2017年10月9日に「仮想通貨取引やICO規制に関するガイドライン」を発表しています。
このガイドラインでは、トークンが、有価証券と同視できるのであれば、既存の法律に当てはまる可能性があるとして、目論見書の発行等を義務付けるというものです。
このガイドラインには、例外要件も記載されていて、一定人数の私募、適確投資家(100万ドルの資産を有する投資家)へのICOは規制の対象外としています。
また、2018年9月には、アラブ首長国連邦(UAE)の証券規制当局は、ICOによるクラウドファンディングの総合的な規制を採用する計画を承認することを加え、有価証券としてトークンを認めることを明らかにした。
ロシアのICO規制
ロシア当局は、2018年3月、仮想通貨を含めて、デジタル資産の関連法案がまとめられました。
この中で、仮想通貨とトークンを公認の仮想通貨取引所でのみ取引することが可能な資産と定義しました。
そして、マネーロンダリング防止とテロ資金対策に関する規制に従うことを仮想通貨取引所の顧客口座に要求することとなりました。