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【ヘルスケアアプリと法律】ヘルスケアアプリは薬機法の「医療機器」に該当するかを気を付けよう【2020年7月加筆】

ヘルスケアアプリで、健康管理の需要増加
健康寿命という言葉もある通り、人々の健康への意識は、年々高まっています。
健康管理をアプリで行うことができれば、簡単に健康について、意識できるようになるため、ヘルスケアアプリと呼ばれるものが、世の中にも、多く出回るようになりました。
そこで、今回は、ヘルスケアアプリと法律の関係について、見ていきましょう!
ヘルスケアアプリは、薬機法に気を付ける
ヘルスケアアプリで、まず気を付けるべき法律は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、いわゆる「薬機法」です。
特に、ヘルスケアアプリが、薬機法上の「医療機器」に該当するかが問題になります。なぜなら、ヘルスケアアプリが「医療機器」に該当すると、事前に、以下のものを揃える必要がでてきます。
- 医療機器製造販売業許可
- 医療機器製造業登録
- 大臣による「承認」、第三者機関による「認証」
ヘルスケアアプリの「医療機器」該当性の判断について
では、どのようなヘルスケアアプリが「医療機器」に該当するのでしょうか?薬機法では、次のようなものが医療機器に該当します。
- 人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること
- 人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている
薬機法の政令には、「医療機器」にあたる「プログラム」の種類が列挙されています。
また、厚生労働省からは、「プログラムの医療機器への該当性に関する基本的な考え方について」というものが公表されていて、具体的にどういったものが「医療機器」にあたるのかが示されています。
この中で、人の生命及び健康や機能に与える影響等を考慮し、プログラムの医療機器の該当性の判断を行うに当たり、次の2点について考慮すべきとされています。
- プログラム医療機器により得られた結果の重要性に鑑みて疾病の治療、診断等にどの程度寄与するのか
- プログラム医療機器の機能の障害等が生じた場合において人の生命及び健康に影響を与えるおそれ(不具合があった場合のリスク)を含めた総合的なリスクの蓋然性がどの程度あるか
そして、具体的に、医療機器に該当するプログラムに当たる例示を行っています。「医療機器」に該当する「プログラム」例としては、以下の通りです。
- 医療機器で得られたデータ(画像を含む)を加工・処理し、診断又は治療に用いるための指標、画像、グラフ等を作成するプログラム
- 治療計画・方法の決定を支援するためのプログラム(シミュレーションを含む)
このように、ヘルスケアアプリによって、診断や治療計画に用いるような場合には「医療機器」に当たります。
次に、「医療機器」に該当しない場合とは、以下の通りです。
- 医療機器で取得したデータを、診療記録として用いるために転送、保管、表示を行うプログラム
- データ(画像は除く)を加工・処理するためのプログラム(診断に用いるものを除く)
- 教育用プログラム
- 患者説明用プログラム
- メンテナンス用プログラム
- 院内業務支援プログラム
- 健康管理用プログラム
- 一般医療機器(機能の障害等が生じた場合でも人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの)に相当するプログラム(新施行令により、医療機器の範囲から除外されるもの)
以上のように、機能が直接には、診断・治療にならない場合には、当該ヘルスケアアプリは、医療機器」にあたらないといえます。
よって、体重記録アプリ・万歩計アプリなどは、「7) 健康管理用プログラム」として、「医療機器」にあたらないといえるでしょう。
また、日常生活上で、体重管理、睡眠時間、一日の歩数などを記録し、管理するアプリは、日常的な健康管理にとどまり、治療などに使われなければ、「医療機器」には該当しないことになります。
これを超えて、上記データなどから、アプリで、独自の病名診断などをする場合には、「医療機器で得られたデータ(画像を含む)を加工・処理し、診断又は治療に用いるための指標、画像、グラフ等を作成するプログラム」として「医療機器」に該当する可能性があるのです。