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飲食店ドタキャン防止システムについて「個人情報保護法」などの法律的ポイントを解説

IT企業のための法律

飲食店のドタキャン防止システムを発表

飲食店では、ドタキャンが、大きな問題になっています。宴会の予約をもらったのに、何の連絡もなく、来店しなかったなどの事例は、たくさんあるようです。

そんな飲食店を救うべく全日本飲食店協会は、「ドタキャン防止システム」をリリースすると発表しました。

これは、飲食店をドタキャンした客の電話番号をデータベース化し、飲食店が参照できるシステムです。電話番号などについては、ドタキャンされたお店が、このデータベースに入力して、それを共有する仕組みです。

では、この「ドタキャン防止システム」について、個人情報保護法など、法律面では、どうなのでしょうか?

携帯電話番号は、個人情報に当たる?

このシステムについては、個人情報保護法上、大丈夫なのでしょうか?そもそも、携帯電話が、個人情報保護法の「個人情報」に当たるのかが問題になります。

個人情報保護法では、個人情報を第三者に提供する場合には、本人の同意が必要です。

今回のシステムでは、飲食店は予約の受付時に、電話番号などを聞いた情報を「ドタキャン防止システム」に提供します。

そのため、携帯電話番号が、法律上の「個人情報」に当たると、飲食店側として、そのお客様の同意が必要になるのです。

携帯電話番号は、個人識別符号?

2017年5月30日に施行された個人情報保護法では「個人識別符号」という規定が新設されました。

この「個人識別符号」に該当すれば、法律上の「個人情報」に該当します。個人識別符号に該当する情報とは、以下の通りです。

  • 身体的特徴のデータ
  • 個人に割り当てられた番号

この「個人に割り当てられた番号」とは、法令上は、以下のような情報が該当するとされています。

  • 旅券番号
  • 基礎年金番号
  • 運転免許証番号
  • 住民票コード
  • 個人番号
  • 国民健康保険の被保険者証の記号、番号及び保険者番号

つまり、携帯電話の番号は、法令上、個人識別符号には当たらないとされています。

提供する情報が、個人情報に当たるのか

上記のように、携帯電話の番号については、個人識別符号には当たりません。もっとも、個人情報保護法では「個人情報」の定義として「個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などによって特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それによって特定の個人を識別することができることとなるものを含む)」とされています。

そうなると、携帯電話の番号でも、その他情報と合わさり、個人を特定できる状態になっていれば、個人情報に該当する可能性があります。

このシステムに店舗側が提供する情報としては、以下の項目があります。

  • ドタキャン日時
  • ドタキャン時の予約人数
  • データ登録をした店舗の電話番号

これが本当だとすれば、この情報のみでは、個人を特定できるとまではいえず、適法とされる可能性も高くなります。

ただし、他の情報もあり、それが相まって、個人を特定できてしまうと、「個人情報」となり、店舗側としては、予約時に「第三者に提供すること」に対して同意を取る必要があります。

個人情報保護法は、慎重に検討することが必要

「ドタキャン防止システム」では、以下のような記載があります。

消費者庁へ問い合わせた結果、電話番号以外の個人を特定する要素がないため個人情報保護法には抵触しないと回答をいただきました

もっとも、仮に個人情報に該当しているとなると、第三者提供するには「本人の同意」が必要ですし、第三者提供する場合には、渡す側、受取側、双方が記録義務が生じます。

改正個人情報保護法施行!個人情報を第三者提供する場合の事業者の義務とは

「ドタキャン防止システム」が、どのように消費者庁に問い合わせしたのかは不明ですが、仮に電話などの照会の場合、こちらが伝える内容によって、回答が異なる可能性もあります。

個人情報保護法に違反した場合には、行政から指導、勧告、公表、業務改善命令が出されます。
また、最悪の場合には、刑事罰もありえます。

事業者としては、個人情報の取り扱いには、注意するようにしましょう!