動画投稿サイトとは、動画の投稿及び視聴を可能とするウェブサイトをいいます。
日本においては、Google社のYouTubeや、ドワンゴ社の二コニコ動画等のサービスが有名です。
動画投稿サイトの問題として、著作権法の知識に乏しいユーザや、場合によっては悪意のあるユーザから、DVD、映画やテレビ番組が動画投稿サイトに投稿されることも、多くみられます。
原則として、著作物が権利者に無断で電子掲示板や動画投稿サイトに投稿された場合、その責任を負うのは、投稿者であるものの、一定の場合には動画投稿サイトの運営者も法的責任を問われることがあります。
ユーザが、著作物である動画を、権利者に無断でインターネットにアップロードし、他のユーザがその動画を閲覧したり、ダウンロードできる状態にしたりすることは、著作権の侵害行為になります。
ユーザが著作権侵害行為をしていても、動画投稿サイトの運営者は、ユーザが違法な動画をアップロードし、他のユーザがその動画を視聴又はダウンロードすることができるシステムを提供しているにすぎず、違法な動画のアップロードを行っているわけではないため、動画投稿サイトの運営者は、直接著作権の侵害行為をしているわけではありません。
裁判例では、ウェブサイト運営者に対して、「ユーザによる複製行為により、本件サーバに蔵置する動画の中に、本件管理著作物の著作権を侵害するファイルが存在する場合には、これを速やかに削除するなどの措置を講じるべきである」と判示しました。
そして、動画投稿サイトの運営者が、ユーザの複製行為を誘引し、複製権を侵害する動画が多数投稿されることを認識しながら、削除せず、放置したことにつき、裁判例では「当該する動画投稿サイトの運営者は、ユーザによる複製行為を利用して、自ら複製行為を行い、複製権を侵害する主体であると評価できる」と判断して、動画投稿サイトの運営者に対して著作権侵害を認めました。
上記のように、運営者としても、著作権侵害になる可能性があります。
運営者として、ユーザが著作権を侵害する動画を違法にアップロードしないよう、事前の対策を施すとともに、もしも違法な動画がアップロードされた場合には、事後の対策として、削除等の適切な措置を講じなければなりません。
まず、事前の対策としては以下の5つが考えられます。
(1)貴社はユーザに対して著作権を侵害する動画を投稿しないよう注意喚起をすることが挙げられる。
利用規約で明示することや、アップロード時に、著作権を侵害する動画でないことをチェックマーク等で確認させたうえで、アップロードさせることが考えられます。
(2)サービスで取り扱うコンテンツについては、あらかじめJASRAC等の著作権管理権者等との間で包括的な利用の許諾を受けておくことも考えられます。
(3)フィンガープリント等の技術的措置により権利侵害コンテンツを排除することが考えられる。
具体的な手法には、権利者に、あらかじめオリジナルの映像・音声データを登録してもらい(フィンガープリントと呼ばれる)、投稿された動画をそれらのデータと比較し、著作権を侵害した動画が投稿されないよう自動でチェックする手法です。
次に、事後の対策として、(4)権利者から著作権を侵害するものであるとの指摘を受けた場合に、実際に、著作権侵害であると判断される動画については速やかに削除することが考えられる(ノーティスアンドテイクダウンと呼ばれる)。
これは、権利者からの削除要請を受け付ける窓口を設け、権利者から指摘を受けた場合には、著作権の侵害であると判断できる動画については、速やかに削除することになります。
(5)定期的にアップロードされている動画を確認し、著作権侵害のおそれがある動画は削除することや、⑥著作権侵害の動画を投稿したユーザのアカウントを停止することも有効な対策であると考えられます。