ブロックチェーンを活用したビジネスとしては、個人間の電力取引 ・不動産・アート作品の売買や行動履歴等のデータの記録などが挙げられます。
スマートコントラクトなどにあるように、ブロックチェーンと契約関係に焦点を当てて検討します。
例えば、フリーランスなどに、委託料の支払いを仮想通貨で行う場合を想定します。
実際の取引に、なぜスマートコントラクトを採用しているのか、その執行は具体的にどのような根拠で行っているのかを、明確にするこ必要があります。
例えば、スマートコントラクト上の 記録することが、直ちに契約成立になるのかという点があります。
通常であれば、契約書などに署名押印する、利用規約に同意するなどのアクションがあるため、契約したかは明確ですが、ブロックチェーンの記録で、当事者の意思がどこまで明確になるかという問題があります。
特に、スマートコントラクトの場合、その記録に基づき自動的に執行までされる実際の影響が大きいです。
もし、スマートコントラクト上の 記録だけで、契約成立とならない場合には、契約締結行為等が別途必要になる可能性があります。
例えば、ある事業者がブロックチェーンを用いて、ある動産の取引データを記録・証明するサービスを提供するとする場合、 当該動産について、ユーザー間や、ユーザーとサービス提供者間は、どのような法律関係となるのでしょうか?
この点に関しては、ブロックチェーン記録自体だけではなく、サービス内容や、データ内容、および当該データに係る取引の内容等によって、決定されることになります。
この法律関係を明確にするために、当該サービスをダウンロードする際に同意を求める規約等において、誰と誰との間にいかなる契約が成立し、どのような権利義務関係になるのか、分かりやすく明確にしておく必要があります。
通常、サービス提供事業者とそのユーザーとの間には、通常、規約によってサービスの利用契約が締結されます。
ユーザーが、サービスを利用して、それに対する対価を事業者に支払う点は通常のサービスと大きく変わりませんが、ブロックチェーンを用いていることによる注意点が存在する。
事業者は、ユーザーに対してサービスを提供する義務を負います。
そうなると、ブロックチェーンを用いたサービスがプラットフォームのような機能を有する場合には、プラットフォームや取引される製品・サービス、利用者の特定などを踏まえて、通常想定される不具合に対処するための管理体制を整備することまで求められる可能性があります。
この場合、サービス事業者としては、サービスの提供や管理体制の整備に関して免責規定で、「一切の責任を負わない」にすればよいと思うかもしれません。
しかし、免責規定については、ユーザーが消費者である場合には消費者契約法の適用を受けるので、「一切の責任を負わない」というのは、無効になります。
例えば、 ある取引に参加したい者が売買の受発注を行うとして、その取引データがブロックチェーンで記録されるサービスを使う場合については、この場合、ブロックチェーン上の取引データは、単なる「事実」を記録しているだけです。
そうなると、ブロックチェーンでやり取りされるのは単にデータであり、受発注が法的に有効な取引であるということは、何ら保証されていない可能性があります。
ブロックチェーン上の情報は修正が難しいので、影響は大きいです。ブロックチェーン上の記録についても、どのように記録するのかを法的観点から検証する必要があるのです。