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「データベース」が著作権で保護されるには「創作性」が必要!【2024年6月加筆】
データベースに著作権は認められるのか
企業活動においては、様々なデータベースが活用されています。データベースについて、著作権法の著作物に該当するのでしょうか?
著作物に該当すれば、著作権の保護のもと、権利者の許可なく勝手に利用することはできなくなり、仮に使用された場合には、差止請求や損害賠償請求をすることができます。
著作権法では「データベース」について「論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、それらの情報をコンピュータを用いて検索することができるように体系的に構成したもの」と定義しています。
そして「データベースで、その情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものは、著作物として保護する」と規定しています。
データベースに該当するか
データベースが、著作権法上の著作物として保護されるかどうかについては、まずは著作権法上の「データベース」に該当していることが必要です。
上記のように、法律上のデータベースとは「情報の集合物をコンピュータで検索できるように体系的に構成したもの」です。
データベースとして、典型的なものは、顧客データベースや文献データベースです。機械の稼働データを集積したビッグデータは、著作権法上の「データベース」の定義に該当するのでしょうか。
ここで問題になるのは「コンピュータで検索できるように体系的に構成」したものかどうかという点です。
ここは、機械的に入力しさえすればコンピュータにより、その中の情報を調べて探し出せるように統一的・系統的な整理がされているものを意味するとしておりコンピュータで検索することが「可能」であればよいと解されています。
そうなると、情報解析目的のビッグデータであっても、この要件を満たすことになります。
データベースの創作性が必要
ビッグデータが、データベース著作物として保護されるためには、情報の選択または体系的な構成のいずれかについて創作性を有することが必要です。
データベースの「創作性」の程度について、裁判所は「データベースにおける創作性は、情報選択又は体系的構成に、何らかの形で人間の創作活動の成果が表れ、制作者の個性が表れていることをもって足りる」と判示しています。
そして「情報の選択」の創作性とは、いかなる情報をデータベースの対象とするのかを決定し、情報を選別して選択すべき情報を決定することに創作的活動が認められることをいうとされています。
また「体系的な構成」における創作性とは、コンピュータによるデータ検索のための論理構造における創作性を意味するとされています。
「体系的な構成」の創作性について、裁判所は、旅行業システム事件において、体系的な構成に創作性があるというためには、収集・選択した情報を整理統合するために、情報の項目・構造・形式等を決定して様式を作成し、分類の体系を決定するなどのデータベースの体系の設定が行われることが必要であるとしています。
これは、体系的構成に独自の工夫があるか、効率的な検索ができるように作成されていて、ありふれたものではないか、他のデータベースにも同様の体系的構成を有するものが存在しないか、という点を見出すことができます。
よって、データベースについて創作性が認められるために高度な知的作業が求められるものではありませんが、誰もが考えるような一般的な体系的で構成されたビッグデータについては創作性は認められません。
例えば、顧客を50音順に並べた顧客名簿や、時系列順で並べただけの産業用データは、情報の選択や体系的構成に創作性がないものとして、データベース著作物としては認められない可能性が高いです。
また、一定のカテゴリーに属する情報を網羅的にすべて収録するようなデータベースは、そもそも情報を選択しておらず、選択の方法としてもありふれた方法なので、情報選択に創作性は認められません。
データベースが著作権法で保護されるかは慎重な判断が必要
上記のように、データベースが著作権法上、保護されるかは、創作性が認められるかどうかなど、慎重な判断が必要です。
事業者としては、データベースが著作権法の保護受けるのか、しっかり把握しましょう。
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