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ビットコインなどの仮想通貨を財務省・金融庁は消費税非課税で調整へ

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

ビットコインなどの仮想通貨、消費税は、非課税の方向へ

財務省と金融庁はビットコインなどの仮想通貨を買うときにかかる消費税を、2017年春をメドになくす調整に入りました。
参考記事:ビットコイン、取得時に消費税課さず17年春にも 通貨の位置づけ明確に|日本経済新聞

今後は、与党税制調査会などで議論を経て、今年末にまとめる2017年度税制改正大綱に盛り込む方針だということです。

仮想通貨の消費税の取り扱いについては、今までも、議論がされてきました。2014年の自民党が作成した『ビットコインをはじめとする「価値記録」への対応に関する【中間報告】』では、ビットコインなどの仮想通貨の売買には、消費税が加算されるとしました。

また、2014年の国会の答弁でも、ビットコインの取引について、消費税が課されうるとしていました(第186回国会常会答弁書28号)。

日本の消費税法は、国内において事業者が行った事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供 については、原則として、消費税が課税されるとされており、
消費税が課税されない非課税取引については、別途、個別に規定しているという体系になっています(消費税法6条1項)。

よって、消費税の非課税項目になっていない「仮想通貨」は、現状では「消費税」が課税されるというのが、大方の見方でした。ちなみに、ゲーム内通貨等の「前払式支払手段」は、非課税項目に挙げられているので、消費税は非課税です。
参考ブログ:ビットコインなどの仮想通貨に消費税はかかるのか?日本の現状について。

海外では、消費税非課税の流れ

日本以外の諸外国では、ビットコインなどの仮想通貨には、仮想通貨には、消費税を課さないという流れが出来ていました。

米国・ニューヨーク州では、財務当局が、ビットコインの売買取引については、消費税は加算しないという見解を示しています。
参考:Tax Department Policy on Transactions Using Convertible Virtual Currency

また、EUでは、欧州司法裁判所が2015年10月22日に、ビットコインの売買取引について、付加価値税(消費税)は 非課税という旨を判事しました。
参考ブログ:EU裁判所がビットコインは「支払手段」で消費税の対象外と判断!日本への影響は?

仮想通貨の支払手段・通貨としての機能が前面に

報道などでは、今回の仮想通貨の消費税非課税化への方向は、仮想通貨が「通貨」としての位置づけが明確になったとしているところもあります。

法律では、仮想通貨を「通貨」と明確に言っているわけではありませんが、法定通貨と同じように、仮想通貨も「消費税の非課税」ということになれば、仮想通貨の「通貨」という機能が、前面に押し出されていると見ることもできるのです。