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【解説】コンテンツを作成するときに気を付ける著作権と肖像権の注意点とは【2022年8月加筆】

著作権に関する法律

コンテンツを作成するときには、著作権(肖像権)を意識する

ウェブサイトや動画などのコンテンツを作成するときに注意することとしては、著作権があります。

他人のコンテンツをパクってはいけませんし、他人の容貌などを撮って、勝手に公開してはいけません。

著作権や肖像権については、弊社でも、多くの相談が受けますが、その中でも特に質問が多い事項について、解説していきます。

動画への通行人の映り込み

動画を撮影する場合、通行人が偶然映り込んでしまう場合があります。この場合には「肖像権」が問題になります。

肖像権とは、無断で自分の容姿を撮影され、公表されない権利をいいます。

肖像権は、著作権と異なり法律で明確に定められてはいませんが、判例によりそのような権利があることが認められています。そうなると、動画で通行人が映り込んでしまい、それを流してしまうと、肖像権の侵害になる可能性があります。

しかし、判例上、肖像権の侵害になるのは、「社会生活上受忍すべき限度を超え」るときとされています。

そうなると、映り込んだ人物が、動画内で誰か特定できない場合には、そもそも肖像権の侵害になりません。

次に、映り込んだ人物が動画内で特定できるような場合でも、公道などであれば、第三者から見られることが予定されており、しかも、通行人を意図して写しているわけではなく、意図せず映り込んでしまったような場合であれば「社会生活上受忍すべき限度を超え」ているとはいえないので、許諾は必要ありません。

ウェブサイトのデザインと著作権

自社のウェブサイトのレイアウトと同じようなサイトが作られている。他社のウェブサイトが良いので、マネしたい。そんなとき、ウェブサイトのレイアウトには、著作権が生じるのでしょうか。

まず、コンテンツが、著作権法で保護されるためには、当該コンテンツが「著作物」といえる必要があります。

著作物といえるためには、「創作的表現」といえる必要があり、「創作的表現」といえるためには、オリジナリティが必要になります。

では、ウェブサイトのレイアウトについては「著作物」と言えるのでしょうか?

判例では、商品販促ツールのデザイン画については、制作者が「制作過程において行った作業は、デザイン、レイアウト、配色、仕上げの各作業に過ぎない」として、デザイン画の著作物性を否定しました。

これを考慮すると、ウェブサイトのレイアウトについては、それ自体は、具体的な表現ではなく、アイデアに過ぎないとされることが多く、レイアウト自体には、著作物性はないとされることが多いと思います。

ただし、ウェブサイトのレイアウトが、誰がみても、特定のサイトをマネしたことが分かる場合には、不正競争防止法違反になる可能性があります。

レシピと著作権

ここでも、レシピが「著作物」といえるのかが問題となります。レシピそのものは、その料理に必要となる材料やその分量など、調理の手順を記載するものです。

レシピは、これを見た人が、全員同じように料理を作れるように表現されたものなので、ありきたりな表現になってしまうことが多いです。そうなると、これは、「著作物」であるとはいえないでしょう。

これは、その料理自体が、オリジナルなものであっても一緒です。

ただし、レシピ集として、冊子やインターネット上で発表されているものについては、そのコンテンツ自体は、「著作物」といえる可能性があります

フォントなどの書体と著作権

文章を書く上で、欠かせない書体ですが、この書体については、「著作物」と言えるのでしょうか?

印刷用書体について、著作物があると認められるためには、以下の要件が必要とされています。

  1. 従来の印刷用書体に比して顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要であり
  2. かつ、それ自体が美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えていること

フォントなどの印刷用書体は、誰が読んでもすぐわかることが重要視されるので、「顕著な特徴」や「美術鑑賞の対象」となることは稀であると考えられ、通常は、著作物にはならないものと思われます。