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アプリ制作やオンラインゲーム制作するに際しては、自社のオリジナリティを出すことが必要です。
もちろん、全て自社で制作することに越したことはないですが、他社のコンテンツを参考に…という場面もあるかもしれません。
この場合に、重要なことは、他社の著作権を侵害しないことです。
そこで、アプリ制作やオンラインゲームでは、どのような場合に、著作権侵害となるのかをみることにより、著作権侵害にならないようにするための対策を見ていきましょう!
そもそも、著作権侵害をしたら、どうなるのでしょうか?著作権者からは、以下の請求がされる可能性があります。
(1)侵害行為の差止請求
⇒これは、著作権侵害コンテンツの削除請求などです。
(2)損害賠償の請求
⇒著作権法では、著作権を侵害した側(パクった側)が、それによって利益を得ていた場合には、相手方の利益額を損害賠償できるという規定があります。
また、相手方の利益額が分からなくても、いわゆる著作権のロイヤリティ金額を損害賠償できるという規定もあります。
著作権者が、請求しやすい仕組みになっています。
では、著作権侵害したかどうかは、どのように判断されるのでしょうか?それは、以下の2つの要件を満たしたときです。
依拠性とは、既存の著作物を元に(参考に)パクったかどうかが問題となります。
この依拠性がなければ、仮に類似していたとしても、著作権侵害にはなりませんが、通常は、類似性があるにもかかわらず、依拠性はないことを立証するのは困難なので、著作権侵害かの判断ポイントは、類似性があるかどうかです。
では、どのような場合に、類似性があると判断されるのでしょうか?
判例は、あまりに長いので、要約すると、以下の2つが挙げられます。
要約しても、よくわからないので、裁判所の思考方法を簡単に説明します。
以上の(ア)から(ウ)までを全て満たすと、著作権侵害となるのです。
これだけだと、よく分からないので、実際の裁判例で見ていきましょう!
画面デザインの類似性が争われた事例として、グリーとDeNAの「釣りゲー事件」があります。 これは、グリーの「釣りすた」の画面をDeNAの「釣りゲータウン」にパクられたとして、グリーがDeNAを訴えた事件です。
(左:原告グリーの画面,右:被告DeNAの画面)
この事件で、東京地方裁判所は、DeNAの著作権侵害を認めました(平成24年2月23日判決)が、控訴審である知的財産高裁では、著作権侵害を否定する判決が出ています(平成24年8月8日判決)。
第一審判決については、以下の点を挙げて、著作権侵害があるとしています。
一方、第二審の知財高裁では「両者の共通部分(丸い円があり、そこに魚が来たら、釣り上げる画面)については、創作性がない」と判断しています。
上記のように、裁判所の判断も分かれています。
そのため、著作権侵害に当たるかは、専門的な評価が必要になるのですが、アプリ、オンラインゲームの製作段階としては、以下のようなことに配慮する必要があります。
アプリ、オンラインゲームを制作するにあたっては、まず個別の映像や画面遷移などについて、他社ゲームと共通部分をできるだけ少なくすることが必要です。
そして、共通点のある部分については、それが、創作性があるものなのか、ありふれた表現なのかを検討する必要があります。
創作性があるのかについては、専門的な評価の問題になってしまうのですが、すでに似たような表現が使用されている場合には、「創作性がない」とされる可能性が高いといえます。
よって、アプリ、オンラインゲームを制作する際には、他社との共通部分について、すでに似た表現があるかを検討する必要があるのです。