前回、BYODを導入するときに、就業規則などを改定する必要があるとお話しました。
BYODを導入する場合に、一番のリスクは、「情報漏えい」です。
このため、就業規則とは別に、BYOD利用規程などを規定し、従業員に守ってもらいたい事項(遵守事項)・禁止事項について、詳細を規定することが必要です。
なぜ、別途利用規程を定めるのかというと、BYODについては、詳細に規定することがありますし、後から改定することも多くなります。就業規則を改定するのは大変なので、細かいことは利用規程に定めておく方が良いのです。
また、会社が従業員の私用端末へモニタリングする場合は、従業員のプライバシーの問題に配慮する必要があります。この場合には、モニタリングを行うことについて、従業員から明確な同意を得ておくことが必要です。
この同意は、後から揉めないように、書面で取っておくのがよいでしょう。
BYOD利用規程のサンプルとしては、一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)が、「私有スマートデバイス取扱規程サンプル第1版」(http://www.csaj.jp/activity/byod/index.html)を公表していますので、これを自社に合わせてカスタマイズするようにしましょう。
BYOD制度を取り入れるメリットは、従業員が会社にいなくても、仕事ができることにあります。
一方で、会社側としては、BYODを導入すると、この時間外労働の問題が起こりやすくなります。
なぜなら、「労働時間」とは、法律上、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」をいいます。
そのため、従業員が現実には仕事をしていなくても、会社からいつでも仕事の指示があるかもしれない状態で待機している時間は「労働時間」にあたる可能性が高いです。
所定労働時間外に、従業員の私用端末に会社からの連絡がある状況では「労働時間」にあたり時間外労働になる可能性があります。
また、会社の指示のもと、従業員が私用端末を利用して業務を行っていれば、それは時間外労働になります。
会社にいなくても、時間外労働されますので、会社としては、労務管理を注意する必要があります。
所定時間外には、仕事の指示をしない。残業をする場合には、会社の許可制にするなどの労務管理を徹底しましょう!