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キャッシュバックキャンペーンは法律的に問題はないのですか?【2023年4月加筆】

インターネット法律

キャッシュバックキャンペーンって、法律的にどうなの?

ウェブサービスで、ユーザーの獲得に用いられる「キャッシュバック」キャンペーン。
キャッシュバックを受けられる消費者に対して、お得だと思い、会員になるといった効果があります。

このようなキャッシュバックは、消費者にお金等を戻す行為です。ここで、気を付けるべきは、景品表示法です。

キャッシュバックは、景品表示法の「景品」に当たるか

キャッシュバックが、景品表示法「景品類」にあたれば、景品表示法の適用を受けることになります。

景品表示法における「景品類」とは、

  1. 顧客を誘引するための手段として
  2. 事業者が自己の供給する商品・役務の取引に付随して
  3. 相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であつて、内閣総理大臣が指定するもの

と定義されています(景品表示法2条3項)。

この定義によれば、キャッシュバックは、「景品類」にあたるとも思えます。しかし、「景品類」に当たるためには、「内閣総理大臣が指定するもの」に限られます。

そして「不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件」では、「正常な商慣習に照らして値引…と認められる経済上の利益」は、「景品類」に含まれないこととされています。

そして、「景品類等の指定の告示の運用基準について」によれば、「値引」に当たる具体例が記載されています。

  • すでに支払った代金の割戻し(例:レシート合計金額の○%キャッシュバック)
  • 購入商品と同一商品の付加・増量(例:DVD3枚購入すればもう1枚)

そうすると、キャッシュバックは、消費者に支払ったもらった代金の割戻しなので、「値引」と認められ、原則として「景品類」にはあたらず、景品表示法には該当しないことになります。

キャッシュバックでも、法適用がある場合

ただし、以下のような場合には、キャッシュバックでも「景品類」に当たり、景品表示法の適用があるとされています。

  1. 懸賞(くじや抽選)によりキャッシュバックを行う場合
  2. キャッシュバックした金銭の使途を制限する場合(例:事業者指定の商品・役務の代金に充当させる場合)
  3. 同一の企画において景品類の提供を併せて行う場合(例:キャッシュバックと招待旅行のいずれかを選択させる場合)

上記態様のキャッシュバックを行う場合は、十分注意しましょう。

キャッシュバックを行う場合の表示にも注意

キャッシュバックをする場合には、多くの人を引き付けたいと思い、魅力的なキャッチコピーをつける必要がありますが、この点でも注意が必要です。

例えば、「全商品についてキャッシュバック」と無条件にキャッシュバックをする表示しているにも関わらず、実は対象となる商品・役務が限定されていたり、一定額の購入が条件とされていたりする場合には、景品表示法上の有利誤認表示に該当する可能性があります。

キャッシュバックキャンペーンをする場合には、表示にも十分注意しましょう!