ブランドセーフティとは、ブランドを毀損する不適切なウェブサイトやコンテンツに広告が表示されるリスクから、安全性を確保する取組のことをいいます。
広告配信をリアルタイムで処理する等の状況により、広告主が広告掲載先や広告の表示態様等についてコントロールを行うことできない場面が発生しています。
このようなインターネット広告の現状からは、広告主が望まない掲載面への広告出稿により、そのブランドイメージが毀損されるというリスクが生じています。
さらに、当該掲載面についてSNSにより拡散されることによって、炎上状態となり企業イメージが大きく悪化するという事態も想定されます。
2016年には、世界的な日用品メーカーの日本法人の広告が動画配信プラットフォーム内で特定の政治団体を支援した番組へ掲載されたことにより、SNS等でバッシングされ炎上した事例があります。
この事例において、日本法人は、動画配信プラットフォームと日本法人には直接取引はなく、動画広告ネットワークからの配信の可能性があり事実関係を確認中である、また広告代理店を通じて、動画広告ネット ワークに対し、当該番組を含め政治団体・グループを支援しているとみられる番組への広告出稿の停止の要請を行ったとのプレスリリースを行っており、動画広告ネットワークによる広告配信について、配信先のコントロールができていなかったことがうかがわれます。
広告主としては、広告代理店との契約あるいは広告仲介事業者との間の契約において、契約条項を個別に交渉可能である場合には、ブランドセーフティに関連した手当条項を盛り込むことが検討されます。
具体的には、広告代理店、広告仲介業者のブランドセーフティ保持のための監視・情報開示義務、ブランドイメージ毀損事故が発生した場合の対応責任と損害賠償義務等について規定を行うと良いでしょう。
「ブランドセーフティ」 第○条
アドフラウド、ビューアビリティ、ブランドセーフティ等の問題はインターネット広告において一定の確率で不可避的に発生する事象であるとも考えられることから、広告代理店や広告仲介事業者側からは損害賠償義務等まで定めることには抵抗があり得るものと考えられます。
上記参考条項は、ブランドセーフティの観点からの適切な取組みと事故発生時の対応を規定するものになります。
契約条項について交渉が難しい場合には事実上の対策として、ブランドセーフティに対する適切な対応を行う広告仲介業者の選定や技術面での対策に重点を置くこととなるでしょう。