IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
グローウィル国際法律事務所
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アダルトアプリ利用者を自動的に撮影して金銭を要求する「ランサムウェア」は罪になる?

顔写真を勝手に撮影されて、脅されるアプリ

男性なら、ついついアダルト動画を見てしまうもの しかし、アダルト動画を見ようとスマホの画面をのぞきこむと、自動的に顔写真を撮影されて、「●●ドルを払わらなければ、写真をばらまくぞ」という脅し文句が送信される。

そんな恐ろしいスマホアプリが見つかったとして、米セキュリティサービス会社が注意を呼びかけています。 そのアプリの名前は、「Adult Player」(アダルト・プレイヤー)。

仕組みは、アダルト動画を見ようと起動させると、その人の写真を自動的に撮影する。その後、「●●ドル今すぐ支払わなければ写真をばらまくぞ」という脅し文句を表示するといったものです。

ランサムウェアのアプリは、罪になるの?

このように利用者に脅して、お金を取ろうとするソフトウェアを「ランサム(身代金)ウェア」といいます。 このような「ランサムウェア」を提供する行為は、日本では罪になるのでしょうか?

これは、不正指令電磁的記録に関する罪に問われる可能性があります(刑法168条の2)

この罪は、

人が電子計算機(注:コンピューター)を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録

と規定しており、「ランサムウェア」のアプリは、この罪に該当する可能性が高いです。

また、「バラされたくなければ…」と金銭を要求する行為は、恐喝罪が成立する可能性が高いといえます。(刑法249条)」

支払ってしまった場合、お金は戻ってくるのか?

もし、写真が流失することを恐れて、お金を支払った場合に、後から取り戻すことはできるのでしょうか。

通常、このような手口については、後からお金を取り戻すことは困難です。相手は、犯罪だと知りながらやっているので、足がつかないようにしているはずですし、収益も巧妙に隠ぺいしていることが多いのです。

セキュリティ対策ソフトを導入する、出所の怪しいアプリは使わないなどの当たり前ですが、事前の対策が必要になるのです。