自社サービスを拡販するためのマーケティング手法としてアフィリエイトの仕組みを利用する場合があります。
アフィリエイターは、アフィリエイト記事から購入が発生した場合には、アフィリエイターに報酬が入るというものですが、アフィリエイト登録をする場合に、登録料がかかる場合があります。
そしてア、フィリエイターがアフィリエイターになろうとする者を勧誘し、アフィリエイター登録をあっせんすることができます。
そうやって、アフィリエイターAが、アフィリエイターBを勧誘し下位者になり、さらにアフィリエイターBがアフィリエイターをCを勧誘する、その結果、アフィリエイターCは、アフィリエイターBの下位者として登録され、ひいてはアフィリエイターAの下位者として登録されます。
このようなアフィリエイターが多段階になる場合に、連鎖販売取引になるのでしょうか?
連鎖販売取引(ネットワークビジネス)で関係するのは、特定商取引法です。
そして上記アフィリエイターの取引を、特商法の取引類型に当て はめると、同種役務の提供のあっせん型に該当すると考えられます。
つまり、『同種役務の提供のあっせんをする者を、 特定利益を収受しうることをもって誘引し、その者と特定負担を伴う同種役務の提供のあっせんに係る取引』をしているか否かを検討することになります。
ここで着目すべきは「特定利益」です。
「特定利益」の定義は特商法及び同規則で定められていますが、要するに特定の者が支払う取引料、商品代金・役務の対価などにから、自分がもらえる利益をになります。
ここでいう特定の者とは、『その役務の提供のあっせんをする他の者』で、他の者とは勧誘の相手方以外の者です。
つまり、アフィリエイターが直接勧誘する相手方であるアフィリエイター 以外のアフィリエイター(上記の例でいうと、アフィリエイターC)が提供する取引料、商品代金・役務の対価により 生じる利益であることが「特定利益」の要件です。
つまりアフィリエイターAが、アフィリエイターBが支払った金銭から報酬をもらうのは特定利益になりませんが、アフィリエイターAが、アフィリエイターCが支払った登録料から報酬をもらうのは特定利益になります。
こうなると、この多段階のアフィリエイトの仕組みは、連鎖販売取引に該当し、特定商取引法の適用があることになります。
アフィリエイトの仕組みとして、アフィリエイターが他のアフィリエイターを勧誘しても、勧誘それ自体によって何らの対価も生じず、先順位者の勧誘を受けて登録した後順位のアフィリエイターは登録料及び更新料を支払うが、この登録料が先順位者に利益として配分されるわけではない場合には、連鎖販売取引にはなりません。
例えばアフィリエイターAが、アフィリエイターCが支払った登録料の一部を報酬として受け取っていない場合です。これであれば、仮にアフィリエイターCが発生させたアフィリエイト報酬の一部が、アフィリエイターAに入る場合でも、連鎖販売取引にはなりません。
このように下位者が支払った登録料から、上位者の報酬が発生しているわけではなく、下位者が発生さえた報酬から、上位者の報酬になっているのであれば、法律上問題ないのです。