今日は、最近改正された著作権法について、その内容を解説します。
著作権法が2023年5月17日に成立、改正がされました。この著作権法は多岐にわたるため実は毎年のように改正されていますが、今回の改正についてその内容を少しご説明したいと思います。
今回の改正は大きく分けて2つあります。
1つ目は、二次利用の円滑化のための法律が変わっています。たとえば、権利者がわからない著作物があります。
インターネット上にあるけれども誰がつくったのかわからない著作物については、これまでは使うことができませんでした。
なぜなら、使用には権利者の許諾可否の意思確認をしなければいけないためです。
許諾を得ているか、著作権法の例外に当たるかのどちらかのみ使用が可能となるため、権利者がそもそもわからない場合には使用ができないわけです。
現在も裁定制度によって使用は可能ですが、非常に面倒なためほぼ使われていませんでした。ですので、今回の改正でインターネット上にあるさまざまな昔のコンテンツなどを使えるようにする制度となったわけです。
実際にはどのようなものかというと、文化庁長官指定の民間機関を設立します。
そこにあらかじめ権利の料金である補償金を供託します。
これによって違法にはならずにコンテンツの利用が可能になります。もし、後から権利者から「勝手に使われている」と申し出があった場合には、民間機関が集めている補償金から権利の料金が支払われる仕組みとなっています。
この制度によって権利者と使用者の双方が守られるようなっています。
二次利用の円滑化の施行日については、民間企業の設立や制度を整えるために時間がかかるため3年を超えない範囲で政令を定める日とされています。
ですので、来年というわけにはいかないかと思いますが、整備を進めていき、2~3年後には施行される見通しとなっています。
2つ目は、直近で施行されるものとして損害賠償額の算定方法が追加されました。
これは、著作権が侵害された場合には損害賠償請求が可能です。
しかし、自分の著作権が勝手に使用された際にその損害がいくらなのかの立証は非常に難しいところです。ですので、著作権者のために損害額の推定規定がおかれています。
今現在も推定規定は3つほどありますが、ここに新たな算定方法が追加されました。
この新たな算定方法について詳細をご説明すると非常に長くなってしまうので、ざっくりとイメージだけをお伝えしたいと思います。
今回、権利者により多くの損害額が認められる算定式が追加されました。
つまり、権利者保護のために3つほどあった推定規定に加えて、従来よりも多くの損害額が認められる可能性のある算定式が追加されたわけです。
これによって権利者は有利になり、使ってしまった側には不利になっています。損害賠償額の算定方法の追加は2024年1月1日から施行されます。
このように著作権については日々動いており、毎年のように改正がされています。コンテンツにかかわる部分なので、事業者の方は十分に注意をしていただきたいと思います。
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