焼き鳥チェーン「鳥貴族」、その安さとクオリティの高さで、東京でも大人気です。
その「鳥貴族」が、同じ焼き鳥チェーンの「鳥二郎」の運営会社を相手に、不正競争防止法にもとづき、デザインの使用差し止めと約6000万円の損害賠償を求める裁判ををしました。
4月21日の第1回口頭弁論では、鳥貴族側は、鳥二郎について、
として、「鳥貴族」と「鳥二郎」が同系列の店と誤解するおそれがあると主張しました。
一方、訴えられた鳥二郎側は、
(a)「鳥二郎」の「鳥」にはくちばしがあるのが特徴
(b)「鳥二郎」の字体が、「鳥貴族」の字体は異なる
(c)「鳥貴族」の看板は、黄色がベースだが、「鳥二郎」は赤地で配色にも違いがあるな
(ⅾ)「鳥貴族」の内装やメニュー、従業員の服装は、特色があるものではなく、居酒屋チェーンにはありふれたもの
と主張しています。
「鳥貴族」と「鳥二郎」ですが、ロゴについては、両方とも商標登録がされています。「鳥貴族」のロゴが先に商標登録され、昨年「鳥二郎」のロゴが商標登録されています。
「鳥二郎」のロゴの商標登録が認められたということは、少なくとも特許庁は、「鳥二郎」のロゴは、「鳥貴族」のロゴと似ていないと判断したということです。
もちろん、裁判所と特許庁は異なる機関ですので、裁判所がどういう判断をするかはわかりませんが、商標の専門である特許庁の判断が出てしまっている以上、鳥貴族側としては、商標権侵害で訴えるのは厳しいといえます、
今回、鳥貴族側は不正競争防止法に基づいて、損害賠償やロゴの使用差し止めを求めています。
不正競争防止法では、一般に広く知れ渡っている商標、商品の容器など(商品等表示)と、同一・類似のものを使用して、『他人の商品または営業と混同させる行為』を禁止しています。
不正競争防止法は、広く企業の不正を取り締まる法律です。
特許法や商標法では請求できないが、相手の行為により侵害を受けているという場合に、この法律を使うことがよくあります。
経営者の方は、不正競争防止法の存在を覚えておいて損はありません。
今回の裁判の争点は、両者のロゴは「類似」といえるのか、メニューや店員服装は、模倣したとえるのか?といったところが裁判のポイントとなるのです。