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VR施設に風営法の適用があるのか、その対応法を解説

IT企業のための法律

風俗営業法上の規制に係る問題

来場者に対し、VRシステムを利用させ、VRを体験させる施設(VR体験施設)を設置したうえで、来場者に対し、VR体験を提供するというサービスについては、どのような法律が関連してくるのでしょうか?

たとえば、「スコア等が出るゲーム」を提供するサービスや、「純粋な体験をするアトラクション」を提供するサービスの2種類が考えられますが、当該サービスを提供する施設を運営する行為について、風俗営業法上の規制の対象となるかが問題となります。

ここで、「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設・・・において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業」は、「風俗営業」に該当するものとして、風俗営業法上の規制を遵守する必要が生じます。

そして、規制対象に関する国家公安委員会規則の定めのうち、本件で問題となりうるのは、次の2つです。

  1. テレビゲーム機(勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有するものまたは遊技の結果が数字、文字その他の記号によりブラウン管、液晶等の表示装置上に表示される機能を有するものに限るものとし、射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く。)
  2. 遊技の結果が数字、文字その他の記号または物品により表示される遊技の用に供する遊技設備(人の身体の力を表示する遊技の用に供するものその他射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く。)

VR体験施設が提供するサービスのうち、「スコア等が出るゲーム」に関しては、「勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有するものまたは遊技の結果が数字、文字その他の記号によりブラウン管、液晶等の表示痰置上に表示される機能を有するもの」に該当するものとして、上記①の「テレビゲーム機」の定義に該当するものと評価され、当該サービスを提供する施設を運営する行為は「風俗営業」に該当するものと解される可能性があります。

他方で、VR体験施設が提供するサービスのうち、「純粋な体験をするアトラクション」に関しては、「勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有するものまたは遊技の結果が数字、文字その他の記号によりブラウン管、液晶等の表示装置上に表示される機能を有するもの」にはあたらず、上記①の「テレビゲーム機」の定義には該当しないものと考えられます。

また、「遊技の結果が数字、文字その他の記号または物品により表示」されないことから、上記②にも該当しないものと考えられます。

よって、「純粋な体験をするアトラクション」を提供する施設を運営する行為は「風俗営業」に該当しない可能性が高いと考えられます。

風営法の対象になる場合には

仮に風俗営業法上の規制の対象となる場合には、具体的には、次のようなと規制を遵守する必要があります。

  1. 営業所ごとに都道府県公安委員会の許可を受けること(風俗営業法3条)
  2. 営業所の構造および設備を、所定の基準に適合するように維持すること(風俗営業法12条)
  3. 営業時間の制限を遵守すること(風俗営業法13条)
  4. 年少者の立入禁止の表示を行うこと(風俗営業法18条)

したがって、VR体験施設の運営にあたっては、提供するサービスの内容をふまえたうえで、当該行為が「風俗営業」に該当するのかを慎重に吟味する必要があります。