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VRコンテンツにおける「著作権」をめぐる問題~二次的著作物とは~【2024年2月加筆】

IT企業のための法律

VRで、コンテンツの3DCG化した場合の法律

VR事業において、コンテンツやアイテムを提供する場合があります。そのときに、注意すべき法律について、解説していきます。

例えば、2次元で描かれた漫画のキャラクター等を元に、3DCG(ThreeDimensionalComputerGraphics)を制作した場合、この行為は、原著作物たる漫画のキャラクターの「変形」(著作権法27条)に該当し、3DCGは「二次的著作物」と評価される可能性があります。

もっとも、「二次的著作物」性が認められるためには、変形行為につき、創作性が認められる必要があります。

通常、2次元の漫画のキャラクター等を3次元化して3DCGを作成する場合には、モデリングやマテリアル・マッピングが施されます。

この過程においては、3DCG制作者自身の創作性が認められることが多いため、3DCGコンテンツの多くは、キャラクター等を原著作物とする二次的著作物として、元のコンテンツから独立した固有の著作権が認められます。

もっとも、元のコンテンツの著作権者に無断で、3DCGを制作する行為は、当該著作権者の翻案権侵害(著作権法27条)に該当する可能性があるため、制作にあたっては、適切な権利処理を行うように注意する必要があります。

既存の立体物(自動車等の乗り物、建造物、家具等)を3DCG化した場合

既存の立体物を写実的に再現した3DCGを制作する場合、当該3DCGにつき、著作物性は認められるのでしょうか。

当該3DCGについて、創作性が認められるか否かが問題となります。

ここに、既存の立体物を忠実に再現した3Dオブジェクトについては、これらの点につき、基本的に既存の立体物の特徴を再現したものにすぎない場合が多いと考えられ、その場合、当該過程において、3DCG制作者自身の感性等に基づく創意工夫が付加されているとはいえないこととなります。

したがって、既存の立体物を写実的に3DCG化した3Dオブジェクトについては、創作性が認められない結果、著作物性が否定される可能性が高いと思われる。

架空の乗り物、建造物、家具等を3DCG化した場合

現存しない架空の乗り物、建造物、家具等を3DCG化した場合、当該3DCGにつき、著作物性が認められますか。「応用美術」に該当するかが問題になります。

ここで、「応用美術」とは、「思想又は感情を創作的に表現しているが、鑑賞目的ではなく、実用に供されることを目的に制作され、又は一般的平均人にそう受け取られるもの」をいうとされます。

「応用美術」については、「一定の美的感覚を備えた一般人を基準に、純粋芸術と同視し得る程度の美的創作性を具備していると評価される場合」に限って著作権の保護が認められると判示されています。

つまり、こちらも、コンテンツとしてのオリジナリティが、著作物性が認められるかにとって、大事なのです。