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情報商材やネットワークビジネスなど「特商法ビジネス」での消費者センターへの対処法【2024年1月加筆】

IT企業のための法律

特定商取引法記載のビジネスでは、行政指導と隣り合わせ

特定商取引法という法律があります。これは、企業と消費者との間で、問題が起こる可能性があるビジネスを類型化したものです。

この法律の中には、訪問販売やインターネットを使った通信販売、ネットワークビジネス(連鎖販売取引)、エステなどのビジネス類型が、規定されています。

このようなビジネスでは、真っ当にやっていたとしても、どうしても消費者との間で、トラブルが起きます。そして、消費者の方が、消費者センターなどの行政機関へ相談するケースが増えています。

そんなとき、企業としては、どのような対応をするべきでしょうか?

消費者センターへは、きちんと対処する

消費者から消費者センターへ相談があった場合、消費者センターから企業に、連絡がいきます。

消費者センターは、あくまで、消費者と企業との間に立ち、解決するように導く機関です。なので、法律上の強制力はなく、無視していても、消費者センターから処分されるということはありません。

しかし、消費者センターの相談は、記録されていて、消費者庁などの行政機関とも情報が共有されてます。

そして、相談件数が多く、全く対応をしていないと、消費者庁から立入検査や行政指導がされる可能性があります。

そういう意味でも、消費者センターからの連絡には、対応する必要があります。

消費者センターへの対処法

まず、理解しないといけないのは、消費者センターは、100%消費者の味方です。当たり前だと思うかもしれませんが、この事実を受け入れることが大事です。

消費者センターとしては、消費者からの主張を聞き、それを100%真実として、企業に伝えてきます。

このときに必要なのは、まず、以下の③点を伝えることです。

  1. 消費者センターから、消費者の主張を聴く
  2. ①で、事実と違うことがあれば、その旨を伝える
  3. ①について、客観的な証拠があるのか、あれば提出してほしい

人は、悪意がなくても、自分の都合のよい風に、事実を解釈します。そうすると、消費者に言っていることと、企業が把握している事実にズレが出てきます。

そこで、企業が把握している事実を、消費者センターに伝えましょう

また、それと同時に、消費者の主張している事実に、証拠があるのかを確認しましょう。

主張するのは、誰でもできます。しかし、仮に裁判になった場合には、証拠がなければ、その主張が認められることがありません。

反対に、証拠があれば、裁判等で負ける可能性が高いです。消費者の主張に、証拠があるのかを見極める必要があります。

企業としての具体的な解決方法

消費者センターとの交渉についてですが、結局は、消費者センターからは、「返金してくれ」という要求がされます。

それに対して、企業としては、以下の3つの対応が考えられます。

  1. 返金拒否
  2. 減額交渉⇒減額返金
  3. 全額返金

①返金拒否

上記の通り、消費者センターには、強制力はなく、返金拒否と突っぱねたとしても、特に問題が起こるわけではありません。

しかし、消費者センターへの相談は、消費者庁の行政機関に情報が共有され、返金拒否したということも、共有されます。

そうなると、上記の通り、消費者庁からの立入検査や行政指導などを受ける可能性が高まります

よって、事業者としては、むやみに返金拒否をするのは、得策ではありません。

②減額交渉⇒減額返金

消費者センターからは、全額返金を求められますが、事業者としては対応し、減額交渉をするという方法があります。

事業者としては、消費者側の言い分は事実と異なる部分がある、証拠の提出を求めた上で、早期解決として、一定程度の減額をして返金をする
というものです。

この対応であれば、消費者センターとしては、解決済みとして、記録に残るので、消費者庁などの行政機関から目を付けられることはありません。

消費者側も、全額返金を求めてきていますので、あくまで、消費者側の主張は、法律上、全額返金請求できないことを、分からせる必要はあります。

その上で、減額交渉をするという流れになるのです。

③全額返金

これは、消費者センターから連絡があれば、全額返金するというパターンです。このパターンであれば、消費者庁などの行政機関から目を付けられることはありません。

ただし、全額返金するとなると、売上が減少してしまうことになるので、大量の返金対応がきた場合には、ビジネス上、成り立たない可能性が出てきます。

消費者センターへの対応は、慎重に

事業者として、消費者センターから連絡が入ったときは、慎重に対応する必要があります。

消費者庁と情報が共有されてしまうと、事業者としても、それだけリスクが高まることになります。事業者としては、法律に則り、きちんと対応するようにしましょう。