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著作権における「転載」と「引用」はどう違うのかを解説【2022年9月加筆】

著作権に関する法律

引用と転載とは何が違うのか

「転載」は、「引用」と同様、著作物を著作権者の許諾なく利用することができます。

「引用」との違いは、次の3つです。

  1. 「転載」の対象となる著作物が限定されている
  2. 「転載」を禁止する意思表示ができる
  3. 「転載」できる場合には、「引用」の制約がない

転載の対象となる著作物

「引用」の対象が広く「公表された著作物」であるのに対して、「転載」 の対象は以下の2つに限定されます。

  • 国の機関、独立行政法人等が一般に周知させることを目的として作成した広報資料等(著作権法32条2項)
  • 新聞又は雑誌に掲載された政治上、経済上又は社会上の時事問題に関する論説(同法39条1項)

国等の公的機関が作成した広報資料等は広く国民に伝達することを目 的として、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の「刊行物」に限定して転載することが認められています。

一方2の時事問題に関する論説は、 目的の制限はなく、また「転載」の方法も「刊行物」に限定されないので、放送等の方法も認められます。

「転載禁止」の意思表示

「転載」が認められる著作物は、その性質上、多くの人に知ってもらい たいという著作権者の意思が推測できるため、許諾なしでの利用が認められています。

そのために著作権者が「転載禁止」との表示をした場合にはそのような推測はできなくなりますので、許諾なしでの利用は認められないこととなります。

「転載禁止の表示方法としては、「転載禁止」「禁転載」「不許転載」などの表示が一般的です。また,争いはありますが,署名がある場合も転載禁 止の意思表示と解するのが一般的ですので、署名がある場合にも転載の許可を得るべきでしょう。

もっとも、転載禁止の表示があり、転載が禁止される場合でも、「引用」 の要件を満たせば著作権者の許諾なく利用することができます。

転載が認められる著作物の詳細

転載が認められているのは著作物について、もう少し細かくみていきます。

国の機関、独立行政法人等が一般に周知させることを目的として作成した広報資料等

法律上、「国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義のもとに公表する広報資料、調査統計資料,報告書その他これらに類する著作物」と規定されています。

これは国民一般に周知させることを目的として作成された著作物であり、政府が発行している白書のたぐい、例えば内閣府が毎年発行している経済白書や法務省が毎年発行している犯罪白書などが典型例です。

時事問題に関する論説

法律上は「新聞紙又は雑誌に掲載して発行された政治上、経済上又は社会上の時事問題に関する論説(学術的な性質を有するものを除く。)」と規定されています(同法39条1項)。

発行者の意見を世に表明するものがこれに該当し、新聞の社説などが典型例となりますが、「論説」を限定的に理解する考え方が一般的であり、「言論機関としての意見表明」としての論説に限られると解されます。

この見解によりますと例えば「コラム」はこれに含まれないことになります。

なお対象となる著作物は「新聞紙又は雑誌に掲載して発行された」ものに限定されていますので、それ以外の媒体、例えばインターネット上のホームページや放送などにおける論説等は該当せず、転載は認められないので注意が必要です。