BtoCサービスをしていると、適格消費者団体というところから通知書が届くことがあります。
このような場合、事業者としては、どのような対応をすればよいのでしょうか?
平成19年6月から消費者団体訴訟制度がスタートし、事業者が行う、不当な契約条項の使用、不当な勧誘行為、不当な広告表示に対する差止請求を行う権利を、一定の要件を満たす消費者団体に認めました。
この団体を「適格消費者団体」といいます。
差止請求の対象となるのは、事業者の以下のような行為です。
事業者が、以上のような行為を行った場合、また利用規約や契約書に記載があり、契約行為を行った場合には、適格消費者団体から差止訴訟がされる可能性があるのです。
最初から、事業者に対して、適格消費者団体から、訴訟がされるということはありません。
最初は、事業者宛に、通知書が届きます。内容は、事業者が上記の差押請求の対象となっている行為をしているので、是正するようにといった内容です。
この通知書が届いたら、まずは、法律上、差押請求の対象行為を行っているのか、判断する必要があります。
消費者団体訴訟制度差止請求事例集によれば、平成19年6月から平成25年7月までの間に、提起された差止請求訴訟のうち、訴訟が終了した17件のうち、原告勝訴5件、和解9件、原告敗訴3件という結果になっています。
適格消費者団体から、通知が来たからといって、法律上、全ての場合に、差止請求が認められるわけではありません。まずは、事業者として、法律的な判断をする必要があります。
そして、通知書にはきちっと対応する必要があります。適格消費者団体は、消費者を代表して、訴訟をする権利があります。
そのため、通知書に対応しないと、訴訟をする可能性が高いです。訴訟をされると、裁判手続なので、非常に面倒な手続きが生じます。
また、訴訟されると、公の手続きになるので、報道されるなどして、会社の評価リスクも生じることになります。
もちろん、法律的に問題ないと判断すれば、その旨を回答する。法律的に問題あれば、きちんと認めた上で、今後の対応策を回答する必要があるのです。
最近の事例としては、DeNA社「モバゲー」の利用規約が、消費者契約法に違反するとして、NPO法人「埼玉消費者被害をなくす会」がモバゲー利用規約の使用差止を求める訴訟を提起しました。
モバゲー利用規約「違法」 弁護士らDeNAを提訴(産経ニュース)
「埼玉消費者被害をなくす会」は、弁護士が中心となって運営している団体で、適格消費者団体です。
これは、DeNA社「モバゲー」の利用規約で、「当社は一切の責任を負いません。」とした条項の使用の差止を求めたものです。
DeNA側は、消費者契約法に違反しないと争っているようですので、結論は分かりませんが、事業者としては、利用規約の条項については、消費者契約法に違反しないように、規定しておく必要があります。