IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
グローウィル国際法律事務所
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利用規約に「損害賠償の制限条項」がある場合に、事業者とユーザーはどうすればいいのか?

ウェブサービスに障害!そんなとき、どうする

ウェブサービスを利用していたら、システムに障害が生じてしまったため、一時そのウェブサービスを利用することができなくなってしまった。

そんなときに、事業者に対して、サービスを利用することが出来なかったことにより生じた損害を支払ってもらいたいと思いますよね。そんなときに、

「ウェブサービスの利用規約に事業者が賠償するのは、ユーザーが事業者に支払った月額料金を限度とする」

といった規定(損害賠償の制限条項)があった場合、事業者に対して請求することができる金額は、支払った月額料金に限定されてしまうのでしょうか。

利用規約が適用…されるとは限らない

まず、利用規約は、事業者とユーザーの契約書の代わりになるものです。基本的には、利用規約で記載されたことが、適用されます。

よって、利用規約に、「事業者が賠償するのは、ユーザーが事業者に支払った料金を限度とする」という規定があれば、原則として、損害賠償のユーザーが事業者に支払った料金が限度となります。

しかし、消費者契約法等で、事業者が故意または重大なミスによってシステム障害を起こしていたような場合には、賠償金額の制限条項は適用されないと判断される可能性が高いです。

そこで、ユーザーとしては、上記の利用規約の定めがあっても、

  • 事業者の重大なミスによりシステム障害は発生した。
  • 事業者は十分なメンテナンスを行っていなかった。

などと主張して、利用規約の規定は適用されず、損害賠償の上限はないと主張していくことが考えられます。

 事業者側の対策は?

事業者側としては、

  1. 利用規約に、損害賠償の制限条項を記載しておく

ことは、最低限必須といえます。

もっとも、事業者側の故意または重大なミス(重過失)によって、損害賠償を引き起こした場合には、損害賠償の制限条項は適用されない可能性があります。

事業者としては、故意または重大なミスによって引き起こされたものではないという主張及び証拠を集めておく必要があるのです。