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サブスクリプションサービスの提供に当たり、利用者に返金やクーリング・オフを求められることがあります。その際、どのような点に注意すべきでしょうか?
クーリング・オフとは、契約申込みや契約締結後にも一定の検討期間を保証する制度です。
消費者は、一定期間内であれば、何らの理由も必要とせず、かつ、無条件に契約を解除することができます。その場合、既に支払った代金は、全額返金されます。
特商法上、クーリング・オフの対象となる取引形態は、訪問販売、電話勸誘販壳、連鎖販壳取引、特定继統的役務提供、業務提供誘引販売取引、訪問購入の6種類です。
なお、消費者から通信手段により契約の申込みを受けて行う形態である通信販売においては、消費者にとって不意打ち的要素が大きいとはいえないため、クーリング・オフの適用はありません。
ただし、事業者が、通信販売に関する広告等において返品特約に関する記載を主務省令で定めるところにより適正に行った場合には、当該特約に従うことになるものの、そのような特約がない限り、商品等の受領した日から数えて8日以内であれば返品できることになりますので注意が必要です。
上記で挙げた取引形態のうち、サブスクリプションサービスにおいて特に問題となり得る取引形態は、特定継続的役務提供及び通信販売です。
美容や教育サービスは、一般的に、継続的にサービスの提供を受けることが多いですが、消費者がサービスに満足するかどうかは、実際にサービスの提供を受けてみなければわかりません。サービスの提供を受ける前に長期間の契約を締結するのは消費者にとって不利であることから、美容や教育サービスなどの「特定継続的役務」にクーリング・オフの制度が適用されることとなりました。
「特定継続的役務」とは、以下のサービスが特定継続的役務として指定されています。
上記①②いずれも5万円を超えるものが対象です。入学金、受講料、教材費、関連商品の購入など、契約金の総額が5万円を超えている場合が対象です。
例えば、エステティックサロンのサブスクリプションサービスを提供する場合には、契約期間が1か月を超え、かつ、契約金額(関連商品の価格も含みます。)が5万円を超える場合(例えば、月額2万円で3か月間施術されるコースの場合)は、期間が1か月を超え、かつ、金額が5万円を超えるため、「特定継続的役務」としてクーリング・オフの対象になります。
月額課金のサブスクリプションサービスであっても、解約禁止期間が上記1か月ないし2か月の期間を超え、かつ、金額が5万円を超える場合には、「特定継続的役務」としてクーリング・オフをはじめ特商法の規制が適用されることになります。
「通信販売」とは、簡単にいうと、ウェブ上の広告を見て商品サービスの申込みを行う取引を言います。またウェブ上で購入の申込みを行う取引方法も通信販売に含まれます。
例えば、インターネット上で食品等の商品を月額で定期的に消費者に提供するサブスクリプションサービスの広告を行い、消費者が購入の申込みを行う場合には、特商法上の通信販売に該当します。
提供するサブスクリプションサービスが通信販売に該当する場合には、販売価格等とともに返品特約に関する事項などの具体的な記載事項が義務付けられています。
サブスクリプションサービス事業者が返品を認めない場合には、その旨明確に記載する必要があり、返品の可否について明確な表示がない場合には、消費者は、商品を受け取ってから8日間返品が認められています。
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