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高級バッグ・腕時計の定額レンタルサービスの法律的注意点

IT企業のための法律

高級バッグや腕時計の定額借り放題サービスの問題

高級バッグや腕時計の定額借り放題サービスでは、レンタル可能なブランドの種類や同時にレンタルできる物品の数が会員種別によって決められており、レンタルした物品を返却すれば顧客は何度でも物品をレンタルすることができます。

返却された物品は別の顧客が再利用する、顧客がレンタルした物品を気に入れば購入することもできるといったビジネスモデルのものが多く見られます。

自社の製品をレンタルするモデルや、他社の有名な商品をレンタルするモデルがあり、またそれらに加えて、消費者が自身の持っている物品をレンタルするための場を提供するというプラットフォーム型のビジネスモデルを展開する場合もあり、様々なビジネスモデルが展開されています。

料金体系は顧客のニーズに合わせて複数の会員種別を用意しているものが多くあります。

例えば、月額定額料金が10,000円のベーシックプランならサービス提供側が指定したリストの中から一度に1個の物品を、20,000円のハイグレードプランならよりハイグレードなブランドを含むリストの中から一度に1個あるいは複数の物品をレンタルできるといった内容であり、会員種別によってレンタル可能な物品や数にバリエーションが設けられています。

レンタルサービス特有の法律的注意点

レンタルサービスである以上、返還されるのが前提であり、返還された商品が破損、汚損等している場合が想定されます。

特に高級バッグや腕時計の場合、破損や汚損等によって価値が著しく低下する可能性があるため、レンタルする際の商品の状態を写真や動画で保存するなど正確に把握しておき、ユーザーと共通認識にしておく必要があります

その上で、商品を受け取ってから、指定期日以内に破損、汚損等がないかをユーザーに確認させ、申告がなかった場合には、破損、汚損等がない商品を送ったとみなす旨の規定を利用規約に入れることが考えられます。

これに加えて、破損、汚損していた場合には、その修理代、場合によっては買換え代金がかかる場合があります。

トラブルを防止するためにも利用規約で、どのような場合に修理代や買換え代金を請求するのか、買い換える場合には破損、汚損した商品は誰の所有物になるのか等の権利関係及び手続を明確にしておくことが重要です。

利用者が未成年者である場合の注意点

また、高級バッグや腕時計のレンタルは、その利用料金が比較的高額になる傾向にありますが、未成年の利用者を許容する場合には、未成年との契約は取り消される可能性があるため、親権者など法定代理人の同意を明確に取得しておく必要があります。

他方で、未成年の利用を許容しない場合には、会員登録などの際に明確に年齢確認を行う必要があり、例えば、生年月日を入力させる、免許証など生年月日が分かる公的書類を提出させる、未成年ではありませんというチェックボックスにチェックをさせるなど、未成年でない旨を明確に表明しなければサービスを利用できない仕様にしておくことが重要です。

月額制度・ポイント制度について

さらにビジネスモデルによっては月額制度とポイント制度を併用し、有料のポイントでレンタルしたバッグや腕時計を購入できるようにすることも考えられます。

そのような場合、発行されるポイントは、有効期限の有無、その期間、未使用残高の金額によっては、資金決済法上の「前払式支払手段」に該当する可能性がありますので、「前払式支払手段」に該当するか否か、該当する場合には、資金決済法上の規定(財務局長への届出及び基準日の未使用残高の2分の1の額の発行保証供託金を供託する義務など)を遵守する必要が生じます。