IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
グローウィル国際法律事務所
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プラットフォーム事業で、ユーザーとの間で消費者契約法が適用されるケースを解説

IT企業のための法律

ユーザーが、消費者契約法が適用されるとき

プラットフォームのユーザーが消費者契約法上の「消費者」にあたる場合で、事業者が以下の①~③のいずれかに該当する場合には、事業者・消費者間では、利用規約に基づく利用契約について、消費者契約法が適用され、PF事業者が消費者に対して直接責任を負うこととなります。

  1. 事業者が売主であるかのような外観がある
  2. 事業者が問題の発生を放置しているかのような特別の事情がある
  3. 単なる情報提供や紹介を超えて特定の商品等の品質を保証した

もっとも、この場合でも、直ちに消費者契約法が適用されるわけではなく、消費者契約法が直接適用されるには、事業者が売主に該当すると評価される必要があります。

プラットフォーム上のユーザー間契約

プラットフォーム上の事業者間・消費者間における契約についても、消費者契約法上の「消費者」にあたる場合には消費者契約が適用される可能性があります。

ショッピングモールにおける取引の場合には、商品・サービスの提供者は消費者契約法上の「事業者」に該当することが通常であり、出展者・利用者間の契約に消費者契約法が適用されます。

これに対し、フリーマーケットやシェアリングエコノミーにおける取引の場合、商品・サービスの提供者が消費者契約法上の「事業者」に該当すれば消費者契約法が適用されますが、該当しない場合には同法は適用されません。

「勧誘」の意義

消費者契約法に基づき、ユーザーがプラットフォーム事業者との間で契約の取消しをするには、事業者が消費者契約の締結について「勧誘」をするに際し、消費者契約法4条1項各号の行為(不実告知や断定的判断の提供)をしたことが必要になります。

この「勧誘」については、不特定多数に向けられたもの(広告など)が該当するか、解釈が問題となっていましたが、最高裁判決は、「事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたものであったとしても、そのことから直ちにその働きかけが…『勧誘』に当たらないということはできないというべき」として、不特定多数に向けられたものも該当するとの判断を示しました

プラットフォーム事業者としては、広告やユーザーに対するお知らせでも、そこに「盛った事実」や「必ず効果がある」といった表現は、消費者契約法で問題となり、事業者とユーザーとの契約が取り消されてしまう可能性もあります。

事業者としては、十分注意が必要です。