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日本におけるイノベーション促進の必要性は長年の課題となっています。
2019年6月に内閣府知的財産戦略本部検証・評価・企画委員会「価値デザイン社会実現に資する実質的なオープンイノベーションの実施に関するタスクフォース」から「ワタシから始めるオープンイノベーション」 が公表されています。
また、日本におけるイノベーションの状況を可視化し共有するため、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がオープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)とともに定期的にオープンイノベーション白書を公表しており、2020年5月29日には、「日本におけるイノベーション創出の現状と未来への提言」が公表されています。
例えば、各国で急成長を遂げているイノベーション・エコシステムの特徴として、近隣の企業や大学と連携し、地域で固有に形成された産業に関連するスタートアップが誕生して、地域に根付いている産業・資産を有効活用しているという点が挙げられると指摘しています。
経済産業省は、2018年3月、投資契約等の設計において契約当事者が留意すべき事項を解説することにより、適切な投資を促進し、ベンチャー企業とその支援者である投資家の発展に資することを目的とする「我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項」をとりまとめています。
同時に「投資事業有限責任組合契約(例)及びその解説」も公表されています。
具体的には、ベンチャー投資に関する主な契約を以下の3つに分けた上で、それぞれについて、タームシートの例を挙げて、その解説を行っている。
日本は、事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携が不十分で、諸外国と比べてベンチャー企業の成功率が少ない状況にあることが指摘されています。
他方で、自社の事業領域を超えて多様なリソースを組み合わせるオープンイノベーションの促進の重要性が一層高まっている。
このような背景を踏まえ、経済産業省は、2019年4月、「事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き(第三版)」を公表している。
例えば、短中期的な時間軸での成果を求められるといった問題に対しては、CVCの必要性・目的の理解を促進させるために社員向け講演会等を行うことやCVC活動をプロセス指標と結果指標から評価する形で合意することといった対応策が提示されています。
経済産業省及び特許庁から、2020年6月30日に、「研究開発型スタートアップと事業会社のオープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver1.0」が公表されています。
それぞれ異なる強みをもった補完関係にあるスタートアップと事業会社との協業が成功するために、例えば、以下のように「次も一緒に協業したい」となる継続的関係が構築されることが、オープンイノベーション成功の1つのカギであると指摘している。
モデル契約書は、新素材に関する取引を仮想取引事例として設定した上で、①秘密保持契約、②PoC(技術検証)契約、③共同研究開発契約、④ライセ ンス契約について逐条解説付きで示されています。
イノベーション推進のための意識・行動改革の促進等イノベーション創出のための具体的な行動を産学官が対話をしながら実行・実現していく場として、2016年7月に「イノベーション促進産学官対話会議」を創設し、同年9月には本会議の下に「産学官連携深化ワーキンググループ」) を設置しました。
その結果を踏まえ、2016年11月、産業界から見た大学・研究開発法人が産学連携機能を強化する上での課題と、それに対する処方箋を「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」) と して取りまとめ、さらに、2020年6月にその追補版が公表されています。
以上のように、オープンイノベーションは、日本としても重要だと位置づけとしています。
今後も、新しい制度などが出る予定ですので、注目していきましょう!