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健康食品・化粧品の広告をする際に、使用前・使用後を見せる「ビフォーアフターの写真やイラスト」を使って、効果を分かりやすく伝えたいと思う方もいらっしゃるはずです。
ビフォーアフターの写真やイラストは、消費者にも視覚的に分かりやすく効果を伝えられますし、文字情報にはない訴求力があります。
実際に、ライザップなどのトレーニングジムの広告でも、ビフォーアフターの映像は使用されているので、問題はないと思うかもしれません。
しかし、健康食品や化粧品の表現については、薬機法(旧薬事法)の厳しい制限があり、写真やイラストの使用には、十分に注意する必要があるのです。
結論から申し上げると、健康食品・化粧品のビフォーアフターの写真やイラストは原則禁止です。
医薬品等適正広告基準では、健康食品や化粧品について、効能効果を保証する表現は禁止されています。
(6)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止
医薬品等の効能効果又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現はしないものとする。
効能効果等又は安全性を保証する表現については、様々なものが考えられますが、東京都福祉保健局・医薬品等適正広告基準の解説記事の中で、使用前、使用後の図面、写真等の表現については、医薬品等の効能効果等又は安全性の保証表現となるので原則として認められない。としています。
これらの解釈基準から、健康食品・化粧品のビフォーアフターの写真やイラストは原則禁止とされています。
事業者の中には、本当に効果があった健康食品・化粧品で、ビフォーアフターの写真を載せて、何が悪いんだと思うからもしれません。
しかし、薬機法は、健康食品や化粧品は、身体に影響を及ぼすものであるので、広告の制限をしています。
健康食品や化粧品の効果については、人それぞれにも関わらず、ビフォーアフターの写真やイラストを載せてしまうと、その効果が保証されていると、思ってしまいます。
よって、使用前・使用後の写真などは、載せるのがNGとされているのです。
使用前・使用後の写真やイラスト掲載は原則禁止ですが、例外的に許される場合もあります。
東京都福祉保健局・医薬品等適正広告基準では、以下のような場合には、例外的に使用前、使用後の写真やイラスト掲載をしてもよいとされています。
日本化粧品工業連合会が発表している化粧品等適正広告ガイドラインでは、例外として使用できる場合として、次のような場合をあげています。
使用前、使用後の図面、写真等による効能効果又は安全性に関する表現については、次の場合を除き、化粧品等の効能効果又は安全性の保証表現となるので行わないこと。
以上のようなガイドラインからすると、ビフォーアフターの写真が許される場合とは、以下の3つとなります。
このように書くと、単純ですが、実際の事例で、例外規定に当たるのかは、慎重に判断する必要があります。
実際に使用した人が、体験談の中で掲載する分には、問題ないかと思うかもしれませんが、これはNGです。ビフォーアフターの写真だけでなく、体験談の中で効果を保証する表現は禁止されています。
体験談の中であれば、OKだと思っている方もいらっしゃいますが、これは間違いですので、注意してください。
ビフォーの写真とアフターの写真で、別人を使用するのは、どうなのでしょうか。
これは、使用前・使用後の写真にはならないため、OKです。実際の健康食品・化粧品の広告でも使われていたりします。
もっとも、この場合でも、ビフォーの写真とアフターの写真で、別人であるという注意書きは必要になります。
以上のように、使用前・使用後の写真やイラストについては、原則禁止がされています。
また、例外規定があるものの、その場合も限定されており、きちっと例外規定に当たっているかを見極める必要があります。
事業者としては、後から、NGだったということがないように、きちっと精査をするようにしましょう。
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