健康食品を扱う事業者にとって、頭を悩ませるのは、その広告の打ちだし方です。
法律上、健康食品の広告において、医薬品的な効能効果をうたうことは、許されません。
この法律上、規制の対象となる「広告」とは、どのようなものをいうのでしょうか?
広告と判断されるか否かは、以下の観点から実質的に判断されるとされています。
よって、特定の成分の効能を紹介しただけのウェブページなどは、「広告」には該当しません。
ここで、特定の成分の効果等を紹介した一般論の記載と、当該成分を含有した健康食品の広告を一つにまとめた表示は、健康食品の広告と判断されるかという問題があります。
上記など、広告にその一般論の情報も含んでいるとして一つの広告と判断される場合があります。
また、キュレーションサイトで一般論のサイトと当該成分を含んだ製品の広告を一つにまとめた場合に一つの広告と判断される可能性が高いです。
厚生労働省が示す通知でも、「特定の食品又は成分の健康保持増進効果等に関する書籍や冊子、ホームページ等の形態をとっているが、その説明の付近に当該食品の販売業者の連絡先やホームページへのリンクを一般消費者が容易に認知できる形で記載している」ものは広告と判断するとされています。
健康食品の広告において、リンクを貼つてリンク先のページで効能効果をうたうことは許されるのでしょうか?
健康食品等のウェブページにおいて、効能効果を標ぼうすることは、法律違反です。
また、販売ページにリンクを貼ることで、直接そのページに効能効果の明示はなくても、リンク先に移動すれば、効能効果を標ぽうしているのであれば、それは一体的ものとして広告と判断される可能性が高いです。
なお、リンクを貼ったわけではないですが、販売ページにおいて、効能効果の記載があるサイトに誘導するために、検索項目を表示し、その項目で検索すると体験談が表示される検索誘導する方法において薬機法違反で逮捕がされた事例があります。
また、広告とはみなされなくとも、景品表示法違反の記載はできません。よく健康食品の記載で問題となるのは、優良誤認表示です。
つまり、実際よりも、盛った表示をしてしまった場合には、優良誤認表示違反にあたり、景品表示法違反になります。
景品表示法に違反をした場合、誤認の排除、再発防止の措置、違反行為の差止め等の措置命令がされることがあり、措置命令が行われた場合には公表されます。
また、措置命令に違反した者には、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金となります。措置命令に違反した法人等にも、3億円以下の罰金刑(景表38条1項1号・2項1号)、代表者に対しても、300万円以下の罰金刑が科される(景表39条)。
また、優良誤認等の不当な表示をした場合、課徴金の納付を命じられることがあります。
優良誤認があったとして、葛の花由来イソフラボンを成分とする機能性表示食品の販売事業者16社が措置命令を受け、そのうち9社に課徴金納付命令が出された事例等があります。
葛の花由来イソフラボンを機能性関与成分とする機能性表示食品の販売事業者9社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について
健康増進法においても、食品の健康保持増進等について虚偽誇大な表示を禁止しています。
この規定に違反したときは、消費者庁から勧告が出されることがあり、その場合公表されます。
勧告を受けた者が、正当な理由なく措置をとらない場合は、措置が命じられます。命令に違反した者には、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。