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唐揚げ専門店「からやま」やとんかつチェーン「かつや」を運営するアークランドサービスホールディングスは「からやま」の店名や看板を模倣されたとして、唐揚げ店「から好し(からよし)」を展開するすかいらーくに対し、営業表示の差し止めなどを求める仮処分を東京地裁に申し立てたと発表しました。
唐揚げ店「からやま」のアークランド、すかいらーくを提訴
今回、アークランド側が、差し止めの根拠にしたのが、不正競争防止法上の周知表示混同惹起行為に該当するというものです。
不正競争防止法は「不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は・・・その侵害の停止又は予防を請求することができる」としています。
つまり、不正競争をしたものについて、差止請求などができる規定になっています。
また、法律上は、損害賠償請求することもできます。
また、刑事罰規定が設けられており、5年以下の懲役、500万円以下の罰金というものが課される可能性があります。
不正競争防止法上の「不正行為」とは、16項目が列挙されています。いずれの規定も、不正に他人のビジネスを妨害する行為が対象とされています。
その中で、広く知られた商品表示によく似た表示、類似表示を使用した商品を作り、売るなどして、市場において混同を生じさせる行為も、「不正競争」と規定されています。
つまり、一定の知名度のあるブランドをマネして商品・サービスをすることを禁止しているのです。
まず、マネされた商品・サービス等が、消費者の間で広く認識されている必要があります。広く認識というのは、判例上、全国的に知れ渡っている必要は無く、一定の地域で知られていれば足りるとされています(東京地裁昭和51年3月31日判決)。
そして、上記のような商品・サービスについて、「類似」する表示が行わた場合には、不正競争となります。
どの程度、類似していれば、不正競争になるかは、評価の問題になりますが、判例は「取引の実情のもとにおいて、取引者、需要者が、両者の外観、呼称、または観念に基づく印象、記憶、連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそれがあるか否かを基準として判断」すべきとしています(最判昭和58年10月7日判決)。
さらに、類似していたとしても、消費者が混同する恐れがない場合については「不正競争」は該当しません。
例えば、広く知られたサービス名と類似したサービス名を付けているけど、両者の業種が違い、誰が見ても、別事業者だと思う場合など、消費者が両者を混同しなければ、「不正競争」にはなりません。
今回の「からやま」が「から好し」を訴えた件では、不正競争防止法上の「不正競争」行為に該当するのでしょうか。
「からやま」が、消費者の間で、一定の知名度があるといえるかどうかによります。
以上のことを総合すると、消費者としては、両者を混同する可能性はあるといえます。よって、今回は「不正競争」と認定される可能性はあるといえるでしょう。
以上のように、「不正競争防止法」は、自社の商品・サービスがマネされたときに使える法律です。
事業者は、この法律の要件に該当するのか、チェックするようにしましょう。