医薬品の広告には、どんな規制があるのか
医薬品の広告規制については、薬機法上の規制があります。
この薬機法上の規制については、具体的にどういったものがあるのかをみていきます。
医薬品等の広告については、薬機法で規制がされているが、実際の運用については、「医薬品等適正広告基準」をもとに行われています。
また、この広告基準の解説として「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項について」も示されています。
ここでいう対象となる広告は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイト及びソーシャル・ネットワーキング・サービス等のすべての媒体を指します。
「医薬品等適正広告基準」で示される基準の項目
上記の広告基準で、審査対象となるのは、以下の事項です。
- 名称関係
- 製造方法関係
- 効能効果、性能及び安全性関係
- 過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告の制限
- 医療用医薬品等の広告の制限
- 一般向広告における効能効果についての表現の制限
- 習慣性医薬品の広告に付記し、又は付言すべき事項
- 使用及び取扱い上の注意について医薬品等の広告に付記し、又は付言すべき事項
- 他社の製品の誹謗広告の制限
- 医薬関係者等の推せん
- 懸賞、賞品等による広告の制限
- 不快、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある広告の制限
- テレビ、ラジオの提供番組等における広告の取扱い
- 医薬品の化粧品的若しくは食品的用法又は医療機器の美容器具的若しくは健康器具的用法についての表現の制限
法的な観点からは、前記のとおり1から3の部分が重要です。
具体的には、以下の点の注意点が示されています。
- 名称は原則承認等された名称しか使用できない
- 製造方法については、最大級の表現に類する表現は表現できない
- 効能効果や安全性の最大級の表現や保証表現が許されない
1~3以外の基準についても表現内容によって、薬機法や他の法律に違反することがあるので同様に注意が必要です。
「医薬品等適正広告基準」の改正ポイント
2017年9月29日に、「医薬品等適正広告基準」が、15年ぶりに改定されました。
医薬品等適正広告基準の改正について
主な改正点の通りです。
- 医薬品の名称については、原則承認等を受けた名称以外の使用はできないが、「ふりがな」以外にもアルファベットの併記を認めた
- 医薬品・再生医療等製品については、愛称は認められないが、医薬部外品、化粧品、医療機器については、販売名等を付記することで認められる(イヒ粧品に関しては、販売名の付記は不要)
- 効能効果の一部のみを強調する表現は認められず、「頭痛・生理痛に○○」とする必要があったが、一つのみの表示、例えば「頭痛に○○」とすることが可能となった
- 効能効果等のしばり表現について、省略が可能な場合をテレビ・ラジオの漢方製剤に限り省略できることを明確にした
- 併用に関する表現の例外が、承認等により併用を認められた医薬品又は 化粧品であることを明確にし、化粧品等を順次使用することの表現は可能であることを明確にした
- 「小児用」、「婦人用」の表現は、原則認められていなかったが、効能効果や用法用量から判断して特定の年齢層、性別等が推定できる場合には 可能となった。なお、「小児専門薬」、「婦人専門薬」は、承認を受けた名称以外は使用できない
- 目薬、外皮用剤の使用感をことさらに強調する広告は不可とされた
- 「眠くなりにくい」と表現することは、その製剤として科学的根拠があり安全性の保証につながらない場合に限り認められた
- 医薬品については、多数購入あるいは多額購入することによる過度な値 引き広告については行わないこととされた
- 推薦している等の広告が禁止される医薬関係者等に、薬局と学会が明記された
「医薬品等適正広告基準」を絶対に守る
事業者として大切なのは、上記の「医薬品等適正広告基準」を守るということです。
これは、法律でも規定されていますし、厚労省から基準が示されている以上は、知らなかったでは済まされません。
法律、基準を把握し、しっかりと運営するようにしましょう。