医療保健分野におけるAI・ロボット活用を推進するためには、プラットフォームにデータを集約し医療機関等に提供する仕組みが必要です。
厚生労働省は、2017年7月4日、「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表」を公表し、国民の健康確保を目的として、健康・医療・介護のビッグデータを有機的に連結する医療保健プラットフォームの構築を進めることとしています。
また、現状においてレセプト情報等の膨大な医療保健データを保有する審査支払機関のあり方を見直し、その保有ビッグデ一夕を積極的に活用することも同時に公表されています。
その中で、医療分野は、個人の病歴などのセンシティブな情報を扱うので、法律も問題になります。
医療保健分野における情報の利活用に際しては、個人情報保護法の規制に留意する必要があります。
「病歴」の他、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)等心身の機能の障害があることや、医師等により行われた疾病の予防および早期発見のための健康診断その他の検査の結果等は、個人情報保護法の「要配慮個人情報」とされ、取得する際には原則として患者本人の同意を得なければならないとされています。
医療保健に関する情報はその性質上、個人のプライバシーに直結し、厳格な取扱いが求められるため、個人情報保護委員会・厚生労働省は本分野における 個人情報取扱いの方針を示しています。
医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱い のためのガイダンス
なお、「大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者」が「学術研究の用に供する目的」で個人情報等を取り扱うときは、前述の本人の同意をはじめ個人情報取扱事業者等の義務が免除されます。
2018年5月31日、次世代の医療分野の研究、医療システム、医療行政を実現するために、デジタル化した医療現場から診療行為の実施結果を含む多様なデータを大規模に収集・利活用するための匿名加工医療情報に関する法律(次世代医療基盤整備法)が施行されました。
この法律では、以下のことを定めています。
この法律が適用される場合には、要配慮個人情報の取得に本人の同意を要しません。
この法律の施行により、産学官のさまざまな主体が本法の仕組みを用いて得られた匿名加工医療情報にアクセスすることができるようになりました。
そして、これらの多様なデータが標準化・構造化等を通じ関係者間で安心・安全に共有できる全体的な基盤として連携・集約され、この基盤を活用することにより、以下のことを実現できるようになりました。
ヘルスケア事業者については、この法律も押さえておく必要があるのです。