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ウソの比較サイト運営で処分!比較サイトを運営する事業者が注意すべき法律【2021年12月加筆】

インターネット法律

うその「比較サイト」開設業者に、消費者庁が処分

電気修理などのサービス内容を比較するうそのホームページを設け、自社のサービスが他社より優れているように見せかけていたなどとして、消費者庁は、都内の業者2社に対し、再発防止などを命じる措置命令を行いました。

比較サイトは、現在でも多くのサイトがありますが、運営事業者として、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。

誤った情報を掲載すると、法律違反にも

今回の処分の対象となった事業者は、実際には存在しないマーケティング会社が、比較サイトを運営している体裁を整え、同業の複数の業者のサービスを比較するサイトを運営し、自社がランキングの上位に選ばれたように見せていました。

このような虚偽のサイトを運営することについて、法律違反になることは、なんとなく分かるかとは思いますが、これらは、景品表示法などに違反する行為です。

景品表示法では、事実とは異なる記載をする場合や事実よりも優良であると思わせる記載をすることを禁止しています(優良誤認表示、有利誤認表示など)。

比較サイトを運営するに当たっては、あくまで事実に基づいて掲載するべきであり、虚偽の事実などを載せてしまうと、法律違反になってしまう可能性があるので、注意しましょう。

比較サイトの運営事業者が景品表示法に違反すると

今回、消費者庁から措置命令が出されました。比較サイト運営事業者が、景品表示法に違反すると、どうなってしまうのでしょうか。

景品表示法関連で、企業に対して、指導等を行う機関として、消費者庁があります。消費者庁からの処分は、近年増えてきており、取り締まりが強化されています。

消費者庁から処分の発表があると、今回のようにマスコミも報道することが多く、それだけ企業イメージが悪化が起こります。

また、消費者庁は、事業者に対して、以下のような措置をすることがあります。

消費者庁による調査及び指導

消費者庁などは、景品表示法に違反することが行われている疑いがある場合、企業に対して、事情聴取や資料の提出を求めることができます。

最初は、任意の調査という形で始めりますが、企業が応じない場合には、強制的な立入検査もできるようになります。

よって、消費者庁から、問い合わせがあった場合には、速やかに対応するのがポイントです。

上記の調査の結果、景品表示法に違反すると、消費者庁が判断した場合には、指導が入ります。
具体的には、消費者庁から、事業者に対して、景品表示法に違反している表現の訂正、削除をすることが求められます。

この指導は、消費者庁から事業者に対し、個別で言われるので、この段階では、公表されることはありません。

事業者としては、仮に法律違反に該当してしまった場合には、なるべくこの指導で終わるように、消費者庁と折衝するべきです。

措置命令

指導事案より、もう一歩重い処分としては、措置命令があります。

措置命令とは、指導事案よりも、悪質な景品表示法違反についてされるもので、Webサイト上にも公表されるものです。措置命令がされると、事業の影響は大きいといえるしょう。

措置命令になる事案は、最初の段階で、消費者庁からの問い合わせに対して、真摯な対応をしなかった場合などにも下ることがあります。

なお、措置命令が下されてもなお、違反状態が改善しない場合には、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科されます。

仮に、措置命令が下さされば、速やかに応じてください。

課徴金

また、近年の法改正で、行政が、課徴金が課すことができるようになりました。実際に、いくらの課徴金が課されるのでしょうか?課徴金額は、以下のように算定されます。

  • 金額:対象商品・サービスの売上額の3%の金額
  • 対象期間:3年間を上限

今年になって、 三菱自動車の燃費不正問題で、実際の燃費と懸け離れた広告をしたのは景品表示法違反に当たるとして、消費者庁が三菱自に4億8千万円程度の課徴金納付を命じる方針を固めました。

三菱自に課徴金4.8億円 消費者庁、景表法初命令へ

上記のような課徴金ですが、課徴金が「課されない」場合があります。違反事業者が相当の注意を怠った者でないと認められるときは、課徴金を賦課しないとされています。

事業者としては、事前にしっかりとリーガルチェックをしたかが問題になりますので、注意が必要です。

また、課徴金額が150万円未満となる場合は、課徴金を賦課しない。つまり、対象商品・サービスの売上が少なく、課徴金が少なくなる場合には、課徴金が課されないことになります。